原子力規制委員会は15日の定例会議で、高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県)に関する日本原子力研究開発機構の管理体制について、改善命令を話し合うという。同機構が改善命令に従うまで、規制委は「もんじゅ」の運転再開に向けた準備を許さないと見られている。14日付各紙が報じた。
「もんじゅ」は、既存の原発から出た使用済み核燃料を再利用して、発電しながら燃料であるプルトニウム239を増やすことができる、第4世代の原発の原型炉だ。この原発技術は「核燃料サイクル」の中核として構想されたもので、石油などと違って燃料を輸入に頼らずにすむ上に、プルトニウムは核兵器にも転用できるため、潜在的な核抑止力としても期待されている。
「もんじゅ」は1994年に稼働開始したが、95年に冷却材のナトリウムがもれる事故が起きて停止。2010年に運転を再開したものの、まもなく機材の一部が落下する事故が起きて停止され、今も運転再開されていない。
今回、規制委が問題にしているのは、「もんじゅ」について昨年11月に約1万項目の点検もれが発見され、今年2月の抜き打ち検査でも不備が指摘されたことだ。これだけ問題が続けば仕方がないとも言えるが、日本の原発に対する海外の信用を高める観点からは、逆に一日も早く「もんじゅ」を再開し、実験開発を進めるべきだ。
安倍晋三首相は3日、トルコで原発の受注に成功した。6月中旬にはポーランドを訪問し、ポーランド、チェコ、スロバキア、ハンガリーの4カ国に対して原発を売り込む予定である。「もんじゅ」の再開を決めれば、これらの国々への「日本は原発技術をさらに高めるつもりがある」というメッセージにもなる。
安倍首相は13日、「核燃料サイクル」を「継続して進めていく」と宣言した。国内のためだけではなく、日本の原発に期待している諸外国のためにも、できるだけ早く「もんじゅ」の運転を再開するべきだろう。(居)
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