アベノミクスで、実体経済にも効果が出始めたようだ。
11日付日本経済新聞によると2014年3月期決算では、上場企業の2割が増益になる見通しだという。利益額はリーマンショック前の08年の水準に戻り、少なくとも「失われた5年」は取り戻すことになりそうだ。
為替が1ドル100円台と大幅な円安に向かったことが追い風になった。株価が1万4000円台に回復したことも大きい。
パナソニックやソニーも純損益で5年ぶりに黒字転換するとの見通しを発表しており、苦境に沈んでいた日本の製造業が復活の兆しを見せている。銀行の貸出し姿勢も好転しており、日本経済の見通しは、昨年からは考えられないほど明るくなった。
しかし、油断は禁物だ。来年4月の消費増税が控えているからだ。
産経新聞編集委員の田村秀男氏が指摘しているように、「『15年デフレ』が短期で解消されるはずがない」と同時に、「デフレ下の消費増税は円高・株安ムードを再燃させる危険が大いにある」。
現段階では、インフレ路線がはっきりと定着したわけでもなく、円安も株高も「期待」で形成された相場に過ぎない。企業業績も、本業部門の売上が成長軌道に戻るためにはもう少しの時間がかかる。
消費増税をすれば、そのすべてが台無しになる可能性がある。
アベノミクスは、今のところ、目覚ましい効果を上げつつある。しかし、安倍政権の政策を見る限り、インフレに転じ、成長軌道に戻した後に、どこに向かおうとしているのかが、今一つ明確ではない。うがった見方をすれば、「政府の借金を返す」ためにやっているように見える。消費税を中心とする増税ラッシュが控えているのがその証拠だ。
もし、政府の赤字を減らすために、まずは経済成長が必要だというレベルでアベノミクスを考えているのであれば、その効果は限定的・短期的に終わるだろう。
幸福実現党も、金融緩和、財政出動、成長戦略と、アベノミクスと同じ政策を4年前から訴えているが、その目的は政府の財政ではなく、国民の豊かさを現在の数倍にすることにある。
この違いは限りなく大きい。それは時間の経過とともに明らかになっていくに違いない。(村)
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2013年5月8日付本欄 東証株価1万4千円台を回復 さらなる成長のためには増税をやめるべき
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2013年6月号記事 異次元緩和って何? - そもそモグラのそもそも解説