福島県双葉町に設定されていた「警戒区域」が今月28日に解除されることが決まった。これにより、同県内のすべての警戒区域がなくなる。だが政府は、被災者が家に戻って日常生活を送ることを許したわけではない。安倍政権の対応の遅さが目につく。
政府の原子力災害対策本部は7日、福島第一原発の事故で福島県双葉町の全域に出していた、原則立ち入り禁止の「警戒区域」を、28日午前0時をもって解除することを決めた。「解除」と聞くと、その地域の住民が自宅に帰るなどして元の生活に戻れる、という印象を抱く人もいるかもしれないが、決してそうではない。
警戒区域だった地域は、年間積算(空間)線量が50ミリシーベルトを超える「帰還困難区域」と、同20ミリシーベルト以下となることが確実と確認された「避難指示解除準備区域」の2つに再編される。
帰還困難区域は、住民が一時的に自宅に戻ることなどを許しているが、その際には、放射線測定機器を着用し、厳重な防護装備をしなければならない。それよりも基準が緩和されている避難指示解除準備区域も、自宅に泊まることはできないし、市町村長が認めた以外の事業(病院や福祉・介護施設、飲食業、小売業、サービス業)は再開することができない。
つまり、「警戒区域」の解除といっても、地域外に避難している被災者に大きな生活の変化はないということだ。
本誌5月号(3月末発売)では、「福島は安全だ 今すぐ我が家に帰ろう 反原発にだまされるな」という特集記事を組んだ。筆者も、実際に警戒区域内で取材を行い、専門家に話を聞くなどしたが、その結果、「年間100ミリシーベルト以下の被曝は問題にすべきではない」「福島の放射線は健康を害するようなレベルではない」「被災者は今すぐ家に戻って、日常生活を始められる」というのが結論である。
事故当時の政府やマスコミが「放射線への恐怖」を拡散したため、いまだに日本人の多くが漠然とした恐怖心を抱いているが、それは実体のないものへの「恐怖心」であり、非科学的な「思い込み」に過ぎない。
安倍政権は原発政策について、国民に反発されないように慎重に、あいまいに進めているように見えるが、そのカメの歩みのような慎重さが福島の復興を妨げ、本来は必要ではないものへの莫大な予算を発生させ、そして、福島の人々から復興の意欲を奪っていることを自覚すべきだろう。
福島の復興には、福島の人々による力強い復興の意思と、それに向けた具体的な自助努力が欠かせない。安倍政権は、○○区域などの余計な規制を撤廃して、地元の人々を自由に活動させ、福島の復興を後押しすべきである。(格)
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2013年5月号本誌記事 福島は安全だ 今すぐ我が家に帰ろう 反原発にだまされるな
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幸福の科学出版HP 『されど光はここにある 天災と人災を超えて』 大川隆法著
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