「西日本最後の1等地」と言われたJR大阪駅北側に、巨大複合施設「グランフロント大阪」がこのほど開業した。4棟の高層ビルで構成され、266店の専門店・レストラン棟、企業などのオフィス棟、研究者やクリエーターらが交流・発信するナレッジキャピタル棟、高級ホテル棟などがある。

開業前から東京や海外の有名ブランドの関西初出店などがメディアで話題になり、ゴールデンウィークに重なったこともあって、近畿圏だけでなく、中国・四国地方などからの旅行者も含め、4月26日の初日に32万人、その後4日間で143万人が訪れ、総売上高は約12億5千万円に上ったという。また、平均価格帯が1億4千万円の「億ション」525戸も最高価格4億円超の部屋を含めて完売した。

もともと1987年に民営化された旧国鉄職員の巨額な年金負債を拠出するために売却された広大な貨物駅のコンテナヤード跡地で、貨物駅の移転を吹田市が受け入れ拒否し続けたために再開発がなかなか進まなかったが、10年後の1997年にヨドバシカメラが駅南側の一角を入札したことが呼び水となり、以後、橋下徹大阪市長の「府市一体改革」の効果も手伝ってか、着々と整備・開発が進んできた。

JR大阪駅と、関西の主要私鉄である阪急、阪神の私鉄や市営地下鉄の始発駅である「梅田」が集中するこの一帯は、大手百貨店が勢力争いを続けていたが、大阪駅ノースゲートビルが2年前の5月に開業したことから、一帯の商業施設間の競争が一気に激化した。百貨店も、老舗の看板を頼みにした「大名商売」を続けているわけにいかず、次々と改装・改築を進めている。

今回の「グランフロント大阪」開業で、その競争はますます激しくなりそうだが、大阪や関西の消費者にとっては消費活動の選択肢が増えたり、近場で気軽に楽しめるなど、生活を豊かにする場が増えてうれしいことだらけだ。

ますますにぎわう「キタ」に負けじと、「ミナミ」でも、来年春完成予定の日本一の高層ビル、あべのハルカス下層階に、近鉄百貨店(阿倍野本店)が、今年6月に先行開業する。

消費者が活発な消費活動を行えば小売業やメーカーの利益が上がり、社員の給料が上がり、失業者数も減る。実際、「グランフロント大阪」だけでも、まだ人手が足りていない状態だという。大都市部の再開発がいかに経済効果の高いものであるかを示している。安倍政権によるアベノミクスに、大都市再開発が加われば、「失われた20年」を一気に取り戻すことも不可能ではない。(宮)

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