北朝鮮の最高裁は4月30日、拘束していた韓国系アメリカ人のペ・ジュンホ氏に対し、15年の労働教化刑を言い渡した。中国で旅行会社を経営するペ氏は昨年11月、北朝鮮の羅先を訪問した際に、政府の転覆を企てたとして逮捕されていた。
2月の核実験以降、米韓に対して戦争の危機を吹っかけてきた北朝鮮が、姑息な「人質外交」に出ている。このほど韓国は、北朝鮮との経済交流事業である開城工業団地からの人員引き上げを決めたが、北朝鮮は賃金未払いの問題があるなどとして、韓国人7人を現地に留め置いている。北朝鮮は、今回のアメリカ人への判決や開城での韓国人への撤収妨害をカードとして、米韓との交渉で有利な立場に立とうとしていると見られる。
懸念されるのは、ケリー国務長官を韓中日に派遣するなどして、北朝鮮との「対話ムード」づくりに取り組んできたオバマ米大統領の対応だ。これまでにアメリカ人が北朝鮮に拘束されたケースでは、米政府が大統領経験者を派遣して人質を取り戻すことがあった。2009年にはクリントン元大統領が、2010年にはカーター元大統領がそれぞれ訪朝し、拘束されたアメリカ人を引き取っている。
しかしいずれのケースでも、北朝鮮メディアはアメリカの元大統領が「真摯に謝罪」したと報じている。北朝鮮にとってアメリカの元大統領の訪朝は、アメリカが「朝貢」してきたも同然の意味ということである。
今回判決が言い渡されたペ氏の救出をめぐっては、カーター元大統領の訪朝も噂されるが、たとえ人命救助に成功しても、ミサイルを振り回した上に外国人を人質に取る横暴な北朝鮮の独裁者に頭を下げることが、「外交成果」と言えるのだろうか。狂犬のような危険国家に「朝貢」ばかりしていては、超大国の名が泣くばかり。「ガキ大将」のような金正恩氏の高笑いが聞こえてきそうだ。
軍事的な挑発と同様に、人質外交も北朝鮮の常套手段である。国際社会にとっての問題は、「このような蛮行をいつまで続けさせるのか」ということである。アメリカとその同盟国は、北朝鮮を早期に解体すべきであり、独裁者の身勝手をこれ以上許していてはいけない。
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