3月に就任したばかりの王毅・中国外相がタイ、インドネシア、シンガポール、ブルネイの東南アジア4カ国の歴訪を開始。1日にタイのバンコクでインラック首相らと会談した。中国外相が就任後初の外国訪問にASEAN諸国を選んだのは15年ぶりという。

王外相が歴訪する4カ国について、2日付産経新聞は、「いずれも中立の立場に近く、しかも、ASEAN諸国の中で影響力を持っている(ブルネイはASEANの現議長国)という共通点がある」と報じている。

ASEAN加盟国は、親中派、反中派、中立派に大きく分けることができる。なかでもフィリピン、ベトナムは、南シナ海に浮かぶ離島の領有権問題をめぐって中国とぶつかっている「反中派」に分類できる。両国は、ASEAN諸国への中国の影響力を排除するため、同諸国同士が結束することを望んでいる。

夏から秋にかけてASEAN関連の会議が行われる予定だが、王外相はこれを前に、中国へのスタンスが比較的中立である4カ国を訪問し、ASEANが「反中」で結束しないよう、くさびを打ち込むのがねらいと見られる。

だが実は、ASEANが反中で一致団結するか、中国の切り崩しを受けてしまうかは、日本やアメリカの姿勢次第かもしれない。

たとえば、中国の侵略の脅威にさらされている台湾は、中国との経済的な結びつきが強まり、中国とは離れられない関係になりつつある。だがその間で揺れる台湾でさえ、最近は、中国の侵略を想定した軍事演習を行い、日本との漁業協定を締結するなど、「親日・反中」姿勢にシフトし始めている。昨年1月、馬英九総統が「親中路線」を前面に出して、再選したことを考えれば、隔世の感がある。

この変化の理由の一つに、日本で保守政権が誕生したことが挙げられる。

これを裏付けるように、大川隆法・幸福の科学総裁が昨年2月に行った馬英九総統の守護霊インタビューでは、馬総統の守護霊は次のように話していた。「まず、日本が一方的に、『台湾は国だ』って、ちゃんと宣言しなさいよ。そうしたら、中国は怒るよ。絶対、怒る。日本は、その怒りに対して跳ね返せるだけの言論とパワーを持ちなさい。(中略)『「今の頼りない日本に乗っかれ」というのは無理だ』っちゅうことは、はっきり言いたいよな。」

この霊言後、日本では、中国にすり寄る民主党政権が終わり、保守色の強い安倍自民党政権が誕生。国防の強化や憲法改正の議論が高まっている。台湾の「反中」シフトは、これと軌を一にしている。こうしたことを考えると、ASEAN諸国が、一党独裁の中国の支配に「NO」を突きつけるためには、日本がより「強い国」へと変身する必要があるということだ。

実際に、フィリピンの外相は日米を含めた対中軍事同盟の結成構想について言及したり、ベトナムが日本との連携強化を図るなどしている。台湾の実例を踏まえるならば、自由と繁栄を守る日米の外交姿勢が、東アジアの安定を構築するカギとなるということである。

安倍政権の関係者が、上記の霊言をキャッチしたか否かは分からないが、2009年に立党した幸福実現党は当時から、日本の国防強化や「対中包囲網」をつくることなどを提言していたことを付け加えておきたい。(飯/格)

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2013年3月13日付本欄 フィリピン外相が、日米を含めた「中国包囲網同盟」を希望

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2013年1月12日付本欄 ASEANの非公式外相会議が中止 自由主義という設立の原点に戻れ

http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=5448

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