小野寺五典防衛相は4月29日、ヘーゲル米国国防長官と会談し、尖閣諸島が日米安保の適用対象であることを確認した。1日付各紙が報じている。

昨年9月にパネッタ前国防長官は「アメリカは主権に関する紛争で肩を持たない」と、領土問題に関し中立的な発言をしていた。それに対し、今回の会談でヘーゲル国防長官は「アメリカは一方的で抑圧的な行動、日本の施政権を軽視する目的でとられる行動に反対の立場をとる」と名指しは避けつつも中国を牽制し、「核の傘」による日本防衛も強調。日米防衛協力の指針を、情報収集・警戒監視・偵察(ISR)を焦点に数年以内に改定するとの方針でも合意した。

安倍晋三政権が発足してから4カ月あまりが経つが、日本を取り巻く国防上の脅威は増している。北朝鮮のミサイル打ち上げ予告や、最近では中国が4月26日に尖閣諸島について「核心的利益」と発言し、日本周辺での覇権主義を強めている。

今回の会談は安倍首相の提唱する、民主主義国が連携して中国を包囲する「セキュリティ・ダイヤモンド」構想に基づき、日米同盟の強固さをアピールするものだと言える。アメリカ側は当初中国を刺激することを恐れて慎重な姿勢を見せたが、日本側が中国を牽制するために日米の意思表示が必要だと説得したという(1日付読売新聞)。

確かに、いまだ世界最強の軍隊を持つアメリカとの同盟を中心とした国防戦略は重要だ。しかしながら、ヘーゲル国防長官は小野寺防衛相に対し、「東シナ海で継続する緊張関係は安全保障上の重要課題だが、平和的に当事者同士が解決するべきだ」とも述べている。アメリカは国防予算を削減しつつあり、やはりやや及び腰だ。

そもそも自国の領土を守るのは自己責任であり、尖閣に日米安保が適用されるかどうかで一喜一憂するのは、主権国家としてはおかしな話だ。やはり日本は自主防衛能力を構築することが重要だろう。夏の参院選後に憲法96条から改正するのでは遅すぎる。早急に憲法の解釈変更などから始めなければならない。(悠)

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