国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関である国際記念物遺跡会議(イコモス)は30日、「富士山(山頂の信仰遺跡群や富士五湖を含む25件)」を世界文化遺産に登録するよう勧告した。このため、「富士山」は今年6月にカンボジアで開かれる世界遺産委員会で正式に世界遺産に登録される見通しとなった。無事登録されれば、日本の世界遺産は直近の平泉(岩手県)、小笠原諸島(東京都)などと合わせて17件目になる。

政府はかねてより富士山の世界遺産への登録を目指していたが、その道筋は決してスムーズではなかった。2003年、まず自然遺産としての登録が目指されたが、ごみ問題や山麓開発など環境面での不備が指摘され、国内選考で落選。その後、目標を文化遺産に変えて再挑戦し、2007年に国が登録を目指す「暫定リスト」に追加された。国の様々な審査をへた後、2012年1月に登録推薦書がユネスコに提出され、同年8月イコモスによる現地調査が実現した。

このような努力の末に、古くから日本人の精神のよりどころであり、世界中から登山観光客が集まる富士山が、ようやく世界遺産に登録される見通しとなった。ただし、江戸時代に歌川広重、葛飾北斎らが浮世絵の題材としてきた「三保松原(静岡県)」は、「山から45キロと離れており、その構成資産とみなせない」として登録除外とされた。

ところで、富士山と国民の信仰の間には密接な関係がある。構成資産に含まれる「富士山本宮浅間大社」には、「木花開耶姫(このはなのさくやびめ)」という女神が祀られている。「古事記」や「日本書紀」によれば、初代・神武天皇はこの方の曾孫にあたり、高千穂(宮崎県)から東へ旅立ち、各地の豪族を平定し、大和(奈良県)の地で即位したという(神武東征)。つまり、木花開耶姫は日本の天皇家の源流にいる方であり、その方が祀られている浅間神社は全国に1300社ある。それらはすべて富士山および木花開耶姫を対象としているのだ。

ちなみに、映画「神秘の法」(製作総指揮、大川隆法総裁)では、木花開耶姫が富士山の火口からヤマタノオロチを復活させ、他国の侵略から日本を守るという重要な役割を果たしている。

2600年以上の歴史がある日本では古来、天皇は神仏に帰依し、その神示を受けながら統治する「祭政一致」が行われてきた。この富士山の世界遺産登録も、日本人が愛国心と誇りを取り戻し、国を守る方向へ向かうための一つの「神の計画」かもしれない。(原)

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