麻生太郎・副総理兼財務相と古屋圭司・国家公安委員長が21日、春季例大祭が始まった東京・九段北の靖国神社を参拝。安倍晋三首相も同日、神前に供える「真榊(まさかき)」を奉納した。新藤義孝・総務相も20日に参拝しており、安倍内閣の閣僚の参拝は3人となった。だが、韓国外務省はこれに反発。今週後半に予定されていた尹炳世(ユン・ビョンセ)外相の訪日の訪日取りやめを明らかにした。

22日付各紙によると、麻生氏はアメリカからの帰国後の21日夜、靖国神社の本殿には上がらず、記帳することなく、拝殿前で一礼。古屋氏は同日午前、本殿に上がって参拝し、「国のために命をささげた英霊に対し、哀悼の誠をささげるのは国会議員として当然」と話した。安倍首相は参拝を見送る代わりに、「内閣総理大臣 安倍晋三」名で真榊を奉納した。

興味深いのは、大手各紙の記事の扱いだ。保守系では、読売が2面でベタ記事、産経も5面で2段記事、日経も2面で囲み記事として扱っている。これに対し、左翼系の朝日は1面で3段、毎日も1面で3段、東京は2面で3段の扱いとなっている。左翼色の強い新聞が、この参拝を大きく扱って騒いでいる。

また、韓国外務省は22日、今週後半に予定されていた尹外相の訪日を取りやめたことを発表。複数の閣僚が靖国神社に参拝したことを受けた措置という。だが、こうした第二次大戦時の日本を「軍国主義」「天皇を中心としたファシズム国家」とする「日本悪玉論」に屈することは危険である。

現在、中国の習近平・国家主席は、この「日本悪玉論」を利用して、アメリカに「昔、悪い日本と一緒に戦った仲じゃないか」とすり寄り、日米を離間させようという戦略に出ている。この論法を持ち出せば、日本に原子爆弾を落として占領したアメリカも反論しにくいからだ。

北朝鮮が暴発寸前の今、日本は米韓と手を携えて、北朝鮮とともに、それを陰に陽に支える中国に立ち向かわなければいけないが、そのために歴史問題で譲歩したり、実際には存在しない従軍慰安婦問題や南京大虐殺などの誤った自虐史観を受け入れたりすることは、逆に日本を弱らせる。そればかりか、北朝鮮や中国につけ入るすきを与えてしまう。

日本政府には難しいかじ取りが求められるが、目先の利益や安心を得るために、大事なものを手放すと、後で取り戻すことは困難になる。領有権を曖昧にしてきた竹島や尖閣問題がいい例だ。

「正しいものは正しい、間違っているものは間違っている」ということをはっきりさせていくことが、長期的に日本の国益につながる。(格)

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