北朝鮮をめぐって、関係国間で急速に対話の気運が高まってきている。
中国の武大偉・朝鮮半島問題特別代表は21日から3日間の日程で訪米し、アメリカのデービース北朝鮮政策特別代表と会談する予定だ。ケリー米国務長官が13日の訪中時に、中国側と北朝鮮の非核化を目指す方針で一致しており、米中は外交接触を通じて朝鮮半島の緊張打開に向けた方策を探るものと見られる。
一方で、2月の核実験以降、中国側からの接触に応じてこなかった北朝鮮も態度を軟化させ、中国側との対話を受け入れる動きを見せているという(20日付朝日新聞)。近く武氏や他の高官が訪朝し、6カ国協議の再開や米朝対話について協議する可能性がある。
ケリー米国務長官が、韓中日への外遊で、非核化を条件に米朝対話を行うというメッセージを送って以降、北朝鮮の動きにも変化が見られるようになった。18日には北朝鮮の国防委員会が声明を発し、米韓との対話に応じる条件として、国連安保理の対北朝鮮制裁決議の撤回や、米韓が合同軍事演習を今後行わないことなどを提示した。
そもそもこの合同軍事演習は今月末で終了することから、北朝鮮が演習終了について「米韓が引き下がった」と国内で宣伝して面子を保ち、対話へ本格的に舵を切るのではないかという分析もある。実際に北朝鮮軍の部隊の一部は撤退の動きも見せており、交渉に向けた舞台づくりを進めている可能性がある。
緊張緩和を「戦争の危機が去った」と歓迎する向きもあるだろうが、対話が北朝鮮の時間稼ぎに終わらないように警戒すべきだ。これまでにも北朝鮮は、半島非核化を目指す6カ国協議に参加しながら、秘密裏に核開発を続け、今や事実上の核保有国になってしまった。
米フォーリン・ポリシー・イニチアチブのクリストファー・グリフィン理事長とロバート・ザラテ理事は、同研究所ウェブサイト上で「北朝鮮が核搭載ミサイルを使用する能力を持っているかもしれないという事実は、北朝鮮政策での我々の過去の間違いがつくり出した損失の大きさを示している。それらを繰り返してはならない」と論じている。
昨今の対話路線で、戦争の危機がしばし去ったように見えても、北朝鮮が核ミサイル開発にまい進していることに変わりはない。北朝鮮の国家体制という根本問題を放置したままで、対話による平和を演出したとしても、それは虚構でしかない。危険国家・北朝鮮を解体する毅然とした外交政策以外に、打つべき手はない。
【関連記事】
2013年4月17日記事 世界が激震! 金正恩守護霊が明かす対日・対韓国の戦略とは?
http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=5897
2013年4月15日付本欄 アメリカが北朝鮮との対話呼びかけ 独裁者に時間稼ぎを許すハト派は改心せよ