中国当局は3月31日、世界初のH7N9型鳥インフルエンザの症例が出たこと、そして患者2人が上海で死亡したことを発表したが、中国人権民主化運動情報センターの14日付の情報によれば、実は上海でH7N9の患者は昨年からいたとみられ、すでに100人以上が死亡しているという。事実だとすれば、中国共産党政府の「隠蔽体質」がまたもや露呈したことになる。
同センターは、昨年10月から、上海で多数の老人が謎のひどい肺炎で死亡していることや、3月には家族3人が死亡した例があること、数カ月の間に100人以上が亡くなっていたことなどの情報を得た。これを受けて同センターが調査を開始したため、政府は公式に発表せざるを得ない状況に追い込まれたという。
つまり、H7N9はすでに6カ月間、中国で流行してきたというのだ。同センターは、来週にも山東省と江西省がH7N9の患者について発表するとの情報を得ているという。
中国では10年前に新型肺炎のSARSが流行した。このとき、最初の患者が広東省で見つかったのは2002年11月のことだったが、衛生省が全国の状況を公表し始めたのは翌年4月に入ってからだった。当時軍医だった蒋彦永(しょうげんえい)氏が内部告発して米メディアが報じたことで実態が明らかになり、最終的には当初の発表の9倍の患者がいたことが分かった。
この結果、患者を隠していたという疑いで当時の北京市長が更迭されている。今回のH7N9に関しては、13日、北京市衛生局が同市で初めて感染の疑いがある患者が見つかったことを発表し、情報公開の徹底をアピールした。中国の情報統制体質はいまだに変わっていないものの、蒋氏は「政府の透明性は進歩した」と評価している(15日付毎日新聞)。
中国政府は、世界保健機関(WHO)と行った共同記者会見で「H7N9型鳥インフルエンザはわれわれが戦わなければならない敵だ」と強調した。しかし、真の問題は、中国政府の情報隠蔽体質にある。このような体質は共産党一党独裁が崩れない限り改まることはないだろう。世界に被害を広げないためにも、中国は言論の自由、報道の自由を実現するための変革が早急に必要だ。(晴)
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