北朝鮮は、新型の長距離弾道ミサイル「KN-08」、さらには新型の中距離弾道ミサイル「ムスダン」と見られる物体を日本海側へ列車で移動させ始めた。4日付各紙(オンライン版)が報じている。
「KN-08」は射程1万キロメートル以上で米本土に到達すると北朝鮮軍は主張しているが、専門家は射程6000キロメートルと分析している。「ムスダン」は射程2500~4000キロと推定され、2007年から実戦配備されたと見られている。ただし「KN-08」「ムスダン」共に試射が確認されたことがないため、詳しい性能は分からない。
このタイミングで北朝鮮がミサイルを移動させ始めたのは、故金日成主席の生誕101周年を迎える4月15日前後に日米韓から何らかの譲歩を引き出すため、または金正恩第1書記の威光を高めるための国内向けのパフォーマンスと言われている。いずれにせよ、国内外に向けた北朝鮮のメッセージであることは間違いない。
これに対抗してかアメリカは3日、グアムへのミサイル防衛システムの配備を発表した。ヘーゲル国防長官は北朝鮮による「現実的で明確な危険」があると指摘、先月15日にもアメリカ西海岸のミサイル防衛網の強化が発表されたが、矢継ぎ早の防衛システムの強化から、北朝鮮がアメリカにとって明確な脅威になっていることが分かる。
アメリカがグアムにミサイル防衛システムを配備するのは、アメリカ本土やグアムなどにあるアメリカ軍の太平洋基地に向かう北朝鮮のミサイルを迎撃するためだと考えられる。万が一北朝鮮が日本に向けてミサイルを発射した場合、それをグアムのミサイル防衛システムが迎撃できる可能性は低いだろう。北朝鮮から日本は約700キロ、一方グアムから北朝鮮は約3200キロあるため、迎撃する前にミサイルが日本に着弾してしまうからだ。
北朝鮮の長距離弾道ミサイルの射程下に入りつつあるアメリカが、自国がミサイル攻撃されるリスクを冒して日本を守るだろうか。日本はアメリカに頼らず自国を守る方法を、真剣に考えなければならない。(飯)
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