インドネシアやフィリピンとの経済連携協定(EPA)による人材交流の一環として、日本は両国から看護師候補者を受け入れているが、2012年度の国家資格試験の結果、外国人候補者は311人が受験し、30人が合格。合格率は9.6%と、前年より1.7%低下した。
彼らは3年の間に日本語での試験に合格できなければ、帰国しなければならない。対応策として今回、言葉のハンディを埋めるために試験時間を延長したり、漢字にルビを振るなどしたが、結果は芳しくなかった。政府は特別措置として滞在期間を1年延長することを決めたが、抜本的な見直しが必要だろう。
厚生労働省によると、看護職員は2011年時点で約5万人が不足していた。2050年には、需要増を見込むと100万人不足するという予測もある。人材交流では、それぞれの施設で候補者を受け入れ、就労させながら資格のための勉強をさせている。しかし、毎年の受け入れ人数は減少傾向にある。
就労しながら勉強している外国人に、日本人と同じ試験を受けさせるのは、合格させまいという意思があるととられても仕方がない。既得権益を守ろうとしているなら、長い目で見て自殺行為に等しい。本当に外国人に日本に来てもらいたいのなら、現行よりも易しい試験を外国人向けの「準」資格として作り、合格すれば滞在年数を大幅に増やすなどの対策が要るだろう。
また、試験が難しくなる原因の一つに、日本語が難しいということがある。特に1年目の候補者は、言葉の問題から、施設側にとって負担になるという声もあり、外務省は、日本に来る前に日本語を身につけてもらえるよう、海外の学校での日本語講座を増やす策などを検討する懇談会を26日に開いている。こうした対応を積極的に推し進めるべきだ。
さらに、看護師や介護士にとどまらず、国家ビジョンとしての移民政策を本気で考える時期が来ている。
幸福実現党は立党以来、「人口増加策と外国人受け入れを進め、将来的に『3億人国家』を構想します」と主張している。今後、日本は少子高齢化と人口減がどんどん進んでいく。人口減を抑え、さらなる発展を目指すためにも、積極的な移民政策が必要だ。(居)
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2012年9月3日付本欄 2100年に東京の人口は半減? 有識者研究会の推計
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2010年6月号記事 移民国家を目指せ!