経済産業省は12日、愛知県の南80キロ沖合の、海面下1000メートルの深海で行っていたメタンハイドレートの試掘試験に成功したと発表した。深海からのメタンハイドレートの採掘成功は世界で初めて。独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)などが試掘を2週間行い、2018年の実用化を目指して技術を高める計画だ。

メタンハイドレートは、天然ガス中のメタンが氷状に固まったもので、愛知県沖のほか、四国や九州の沖など、日本の近海で相次いで見つかっている。すべてを合わせると、日本の天然ガス使用分の100年分以上を賄える見込みだという。

JOGMECによると、メタンハイドレートの埋蔵は日本近海に集中しているように見えるが、実際には日本の調査が世界で最も進んでいるためにそう見えるだけであり、他の地域、例えばアメリカのメキシコ湾にもかなりの埋蔵量を期待できるという。産出技術を確立できれば、メタンハイドレートが石油の次の燃料となる可能性もある。

日本はこれまで石油などを産出しなかったため、化石燃料を中東などから輸入している。そのシーレーン上のパキスタンや、バングラデシュ、スリランカにも中国の軍港が造られつつある今、石油輸入のリスクは増大している。そうした輸入リスクのない原子力発電も、福島原発事故後は反対の声に押され大飯原発以外は停止している。そうした中で、アメリカを中心に起きつつあるシェールガス革命に続き、日本にメタンハイドレート革命が起きれば、エネルギー自給率を大きく増やすことができる。

しかし、日本が豊富な資源を持つということは、それを巡るトラブルのリスクもまた増えるということでもある。

例えば中国は、1968年に尖閣諸島近海で海底油田が発見された途端に尖閣諸島の領有権を主張し始めた。メタンハイドレートも、経済ベースに乗る程度まで技術力が高まった時には、中国が鉱床の所有権を主張してくる可能性は大いにある。

すでに、その布石は打たれつつある。中国の第12回全国人民代表大会(国会)初日の5日、温家宝首相は「強固な国防と強大な軍隊を打ち立て、国家の主権・安全・領土保全を断固として守らなければならない」とした上で、「海洋管理を強化し、国家の海洋権益を守る」と発言し、資源の確保を重視することを表明している。尖閣諸島近海はもとより、日本近海の豊富な資源も狙っているのは明らかだ。

今回の採取成功で、メタンハイドレートが次世代エネルギーとして十分期待できることが明らかになった以上、日本政府はメタンハイドレートの鉱床を国民の財産として守り、管理する意思を改めて強く固めなければならない。(居)

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