各国の代表チームが野球の世界一をかけて戦うワールド・ベースボール・クラシック(WBC)が開催中だ。過去2回の大会でいずれも優勝している日本が、3連覇を達成するか注目される。東京では8日、第2ラウンドの日本―台湾戦が行われ、延長の末、4対3で日本が勝利した。日本は10日のオランダ戦に勝利すれば、アメリカでの決勝ラウンドに進出する。
台湾は日本に敗れたが、この試合で日本の観客やメディアが台湾に好意的な態度を示したことに、台湾から感動の声が寄せられている。
試合中、日本人の観客は「台湾謝謝(ありがとう、台湾)」「感謝Taiwan捐贈2011.3(台湾の寄付に感謝)」など、東日本大震災への台湾の支援に感謝するプラカードを掲げた。これは日本で事前にネット上で呼びかけられていたもので、試合前から台湾のネットユーザーの間で話題になっていた。こうした様子を台湾メディアは積極的に報じた。
また、日本のメディアの多くが、台湾チームを「台湾代表」と報道した。台湾は国際社会で国として認められていないため、WBCやオリンピックなどの国際試合では「中華民国」や「台湾」という名称は使えず、やむなく「チャイニーズ・タイペイ(中華台北)」の名称を使ってきた。台湾メディアのNOWnewsは、「日本がわれわれにくれた善意は台湾ファンの心を温めた」と紹介している。
台湾は「最も好きな国」として日本を挙げる人が41%にのぼり、2位の中国大陸8%、アメリカ8%を大きく引き離している(財団法人・交流協会「台湾における対日世論調査(2011年度)」)。李登輝元総統など親日派の知識人も多い。李・元総統は、著書『最高指導者の条件』のなかで、「私は、自分が受けた日本の教育は素晴らしいものだったと感謝している」と言及。尊敬する指導者として、台湾統治時代に近代化を推し進めた後藤新平・台湾総督府民政長官をあげている。
台湾はこれほどまでに日本を愛し、尊敬している。それにもかかわらず、日本はこの台湾の愛に十分に応えていないのではないだろうか。震災後、日本政府は義捐金を寄せてくれた各国のメディアに感謝広告を出したが、250億円もの義捐金を送ってくれた台湾には、中国への配慮からか、広告掲載を見送った。そのため、代わりに、日本の民間団体や交流協会が広告を作成した。
今、台湾は中国によって経済的に絡め取られようとしている。習近平・中国共産党総書記は2月に行われた台湾の連戦・元副総統との会談で、「両岸同胞は血でつながっており、一つの家族だ」と発言。中国と台湾の間では人民元の直接決裁も始まっており、経済的な中国の影響力が大きくなっている。
日本は、自由や民主主義という価値観を共有し、今も昔も日本に厚い信頼を寄せてくれている台湾との結びつきを強めるべきだろう。今後日本は、経済面などでも台湾との協力関係を深めていくべきだ。(晴)
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