2020年の夏季オリンピックの開催地決定に向けて、国際オリンピック委員会(IOC)の評価委員会は7日、候補地の東京で4日間の現地調査を終えた。東京招致委員会は、他の候補地であるマドリード(スペイン)とイスタンブール(トルコ)に対抗するため、各界トップによる案内を充実させたほか、東京の持つ鉄道網や高速道路網などの「都市力」のPRにも力を入れた。

今回の調査でIOC評価委は37会場のうち33会場を視察したが、移動はほぼスケジュール通りで大きな遅れもなかった。主な会場が半径8キロ圏内に集中している上、交通インフラが整っており、東京招致委員会が掲げる「選手第一のコンパクトな五輪開催」のアピールとなった。

さらに現在、東京都は首都高の整備計画も進めている。五輪開催時は専用レーンや優先レーンを設置する予定で、選手村の建設予定地である晴海地区からメイン会場の国立競技場までは15分程度で移動できる。

大量の観客の輸送も、東京であれば鉄道などの公共交通機関でまかなえ、メイン会場の国立競技場から半径1キロ圏内には地下鉄の駅が6つもある。また、東京の鉄道網は一日で約2500万人を運び、ほぼ遅れなく数分おきに電車が走っているが、世界の交通事情から考えると奇跡だ。短時間で、しかも多くの人々を輸送できる東京の「都市力」は世界最高水準である。

世界は今、人口が都市部に一極集中する「都市国家化」が進んでいる。

都市経済学者のリチャード・フロリダ氏は、著書『クリエイティブ都市論』で、才能にあふれたクリエイティブな人々が特定の場所に集まることで、各人はより創造的になり、経済繁栄も増大すると述べている。東京は世界で唯一の1兆ドル(約100兆円)経済圏と言われており、世界が目指すべきモデルの一つなのだ。

もちろん、諸外国の都市に比べ、建物の高層化が遅れているなどの面もあるが、オリンピックの招致を機に、東京はもう一段都市力を向上させるべきだ。東京を未来都市のモデルとしてPRできれば、都市づくりの方法自体を世界に輸出していける。東京の発展は、世界の都市の発展をも牽引しうるのだ。(晴)

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2013年1月号記事 世界都市東京 その無限の可能性に迫る

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