安倍晋三首相は衆院予算委員会で7日、1952年4月28日にサンフランシスコ講和条約で日本が主権を回復したことを記念し、「本年4月28日に政府主催の記念式典を実施する方向で検討している」と表明した。
首相は式典の開催意義を「我が国による国際社会の平和と繁栄への責任ある貢献の意義を確認し、我が国の未来を切り開く決意を確固たるものにする」としており、月内の閣議決定により開催が決定する見通しだ。
太平洋戦争が終結した1945年から7年間、日本はアメリカの占領下にあり、その間日本は主権を有していなかった。しかし、第二次世界大戦後は東西冷戦が始まり、1950年には朝鮮戦争も起こったことを受け、西側陣営が日本を取り込むという思惑もあって、外務省の交渉により主権回復の気運が高まった。
その結果、1951年9月、アメリカのサンフランシスコで52カ国が出席のもと、サンフランシスコ講和会議が開催され、全件代表の吉田茂がサンフランシスコ講和条約を受諾した。1952年4月28日の条約発効により、日本は国家としての主権を回復、国際社会に復帰した。
2011年に自民党国会議員の有志が4月28日を祝日にする祝日改正法案を衆院に提出したが、法案は実現せず、自民党は先の衆院選挙の公約では「4月28日を『主権回復の日』として祝う式典を開催」と記載していた。
「主権回復の日」を祝うことは、国家にとって重要なことであり、アメリカも1776年7月4日の独立記念日を現在でも祝日として祝っている。日本が60年以上も4月28日を祝ってこなかったことの方が不思議である。
ただ日本の場合は、国防をアメリカに依存していることから、完全に主権を回復したとは言いがたい。むしろ、中国や北朝鮮の軍拡により、日本の主権が脅かされているのが現実だ。本当に日本の主権回復を祝うのであれば、日本は占領下で制定された日本国憲法の改正、特に憲法9条の改正を行う必要がある。
安倍首相は、「7年という長い占領期間があったことを知らない人も増えている。その間に憲法、教育基本法といった日本を形作るものもできた」と、憲法改正への意欲も見せている。安倍氏は前回首相を務めた際に、「戦後レジームからの脱却」を強く訴えていた。今、「主権回復の日」である4月28日に式典を開催することは、戦後レジームからの脱却の一環でもあるのだろう。
このたびの「主権回復の日」式典開催を機に、真の「主権国家」に生まれ変わるべく、憲法や国防など、戦後体制の見直しを日本国民として真剣に考えるべき時だろう。(飯)
【参考記事】
2013年1月31日付本欄 【そもそも解説】憲法改正の手続きって、どうなってるの?
http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=5552
2013年1月30日付本欄 日本の集団的自衛権行使を東南アジア各国が支持