画像は21日緊急に設置された羅援(ら・えん)少将のブログの記事
対日強硬論の急先鋒として知られる、中国人民解放軍の羅援(ら・えん)少将が、軍高官としては異例のネット上でのミニブログによる発言を始め、内外メディアの注目を浴びている。日本のメディアは明らかにしないが、羅少将がミニブログを始めた理由は、実は幸福の科学系の団体が日本国内で配布したチラシへの反論が目的であった。
26日付毎日新聞では、羅少将は22日、中国版ツイッター「微博(ウェイボ)」で、「親愛なる祖国、党、軍隊、人民のために我々は戦わなければならない」という発信を紹介。すでに23万人以上がフォローしていることを伝えた。だがこの記事では、なぜ中国版ツイッター「微博(ウェイボ)」を始めたのかという点には触れていない。
しかし、海外紙のニュース・サイトでは核心部分を伝えている。アメリカに本部を置く国際ビジネス紙「 IBTimes(アイビー・タイムズ) 」の中国語版(22日付)や、中国紙の「独家網」(25日付)の情報を整理すると、次のようなものだ。
まず、日本問題の専門家で、復旦大学教授を務めるフェン・ウェイ氏が20日、微博(ウェイボ)上に、日本の朝日新聞東京本社前で配られていたチラシの画像を貼り出した。そのチラシには、 羅少将がテレビ番組の中で、「戦争が始まれば、東京の空爆も考える」という対日強硬論を披露した ことなどが記されていた。
このチラシについて、フェン氏は、「この種の言論が、日本や国際社会において、いかなる反響を引き起こすと思うか、聞いてみたい」「たとえ、極端な反中の右翼日本軍人でも、『北京空爆』というきちがいじみたことは言わないだろう」などと羅少将を堂々と批判。
これに対して、羅少将は21日、自身のブログで、「根拠のない噂だ」と「東京空爆」発言を否定。朝日新聞社前で配られていたチラシを、北京駐在のある日本人記者に確認したところ、日本発の宗教「幸福の科学」と関係する団体が作成したチラシであることが判明したとして、「邪教組織『幸福の科学』のチラシだ。なぜ日本の邪教のチラシで中国国内の人々を惑わすのか」などと書き込んだ。
そして、羅少将は22日に微博に登場し、「我々は、もう沈黙することはできない。沈黙の中に死すのでなく、沈黙の中で爆発するのである。我々の愛する祖国、党、軍隊、人民のためにも戦うべきなのである」とした。冒頭の毎日新聞の記事は、この後半部分だけを紹介したものである。
これに、フェン氏も再び応戦。微博で「幸福の科学という組織は、日本の合法的な組織であり、ホームページや公開の出版物があり、邪教組織ではない。あなたが日本人であったら、相手は公の場で誹謗したとして起訴するだろう」と打ち返した。
弊誌が取材したところ、このチラシは中国の軍拡に警鐘を鳴らす「 中国の脅威から子供の未来を守る会 (以下、守る会)」という市民団体が作成したもので、現在、幸福実現党の党首を務める 矢内筆勝 (やない・ひっしょう)氏が、数年前に私的に立ち上げた団体である。
その矢内氏は昨年末以降たびたび、朝日新聞東京本社前で街宣を行い、「中国を利するような偏向報道を正すべきだ」などと訴え続けている。問題のチラシは、2月20日に守る会のメンバーらが、通行人に向けて配布したものだった。
つまり、同会のメンバーたちが東京で配っていた中国の脅威を知らせるチラシが、何らかの形でフェン氏の目に触れてネット上に貼り出され、それを見た羅少将が怒りのあまり、中国版ツイッターである「微博(ウェイボ)」を通じて発言したということである。
羅少将の怒りを買った、矢内氏は次のように話している。「羅援氏は、何を慌てふためいているのでしょうか。私たちは、日本を守るため、真実を伝えているのみです。今さら慌てるようなら、初めから発言するべきではない! 正直に真実を語れ! 姑息な言い逃れをするな! みっともない! 今後、いたずらに日本人を怒らせるような発言は慎むべきだ!」
幸福の科学並びにこれを母体にする幸福実現党は、唯物論・無神論の価値観を中心に据え、神仏の存在を否定する中国共産党の誤りを指摘し続けている。また同時に、中国共産党政権に信教の自由や言論の自由を奪われている中国人民を救いたいという思いで、世界中に広がる拠点を通じて、様々な言論活動を行っている。
そうした「自由の風」を中国に吹かせようとする宗教団体を、今回、羅少将は「邪教」と非難したわけだ。しかし、そうであれば羅少将は、中国共産党が中国人民の幸福や自由を守ることにどれだけ寄与しているか、という点について堂々と語るべきであろう。(格)
【関連記事】
2012年7月11日付本欄 中国が東シナ海で大規模演習 「尖閣での実戦想定」
http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=4558
【関連サイト】
2013年2月22日付 「IBTimes(アイビー・タイムズ)」の中国語版
祸起“轰炸东京" 解放军少将与复旦教授微博掀骂战(IBTIMES)
http://cn.ibtimes.com/articles/22064/20130222/607400.htm
中国の脅威から子供の未来を守る会
同サイト記事 「羅援少将、おおあわて」
http://nakamamo.blog.fc2.com/blog-entry-287.html
同団体が朝日新聞本社前にて配布していたチラシ。同記事にはこの件に関してのいきさつが詳しく掲載されている。 (クリックで拡大します)
矢内筆勝公式サイト