韓国で25日、朴槿恵(パク・クネ)新大統領が就任し、国会議事堂前で就任演説を行った。

演説で朴大統領は、「第2の漢江の奇跡を起こす」と述べ、科学技術とIT産業を土台に新たな高度成長を創ると訴えた。巨大財閥の輸出に頼った経済構造で、国民の所得格差が問題になる中で、中小企業や雇用創出といった「経済の民主化」にも力を入れる。

外交分野では北朝鮮の核実験を「民族の生存と未来に対する挑戦」と批判。抑止力を強化しつつ、対話の道を探ると述べた。日米中ロなどと信頼関係を築くとしたが、日本との歴史問題や竹島については触れなかった。

朴氏は、高度成長を創りながらも暗殺された、朴正煕・元大統領を父に持つ。母親も凶弾に倒れたが、その後はファースト・レディーの役目をこなした。カーター米大統領が訪韓した際には、アメリカ側が検討していた在韓米軍撤退を思いとどまらせることに成功している。父暗殺の報を耳にした際に、混乱に乗じて北朝鮮が攻め込む可能性が頭をよぎり、とっさに「南北休戦ラインは大丈夫ですか?」と言ったのは有名なエピソードだ。

生前の朴正煕大統領は、「おまえたちがどこかの省の長官(大臣)だったら、どんな政策をとるか言ってごらんなさい」と、時折娘たちに話しかけたと言う(『絶望は私を鍛え、希望は私を動かす』朴槿恵著)。父のそばで、国のリーダーとしてのイロハを学び取って育った朴槿恵・新大統領は、まさに選挙で訴えた通りの「準備された大統領」と言える。

一方で、朴新政権は韓国にとっての「踏み絵」とも言えるだろう。政権発足時の支持率は、閣僚人事の取りまとめが難航したこともあり、44%と異例の低水準になっている。日本軍の軍人だった朴正煕元大統領が民主化運動を弾圧したことで、「親日」と「軍事独裁」という父親のイメージが娘にも付きまとい、今後足をすくわれる恐れもある。

竹島に不法上陸した李明博大統領の政権末期の韓国は、日本よりも中国との関係を強化する動きが続いた。しかし、北朝鮮によるミサイル発射や核実験によって、国を守るために真に連携すべきは日本であることが明らかになっている。

日米との連携を深め、北朝鮮の蛮行を阻止するよう、韓国世論は新政権の背中を押せるのか。「親日」のレッテルを背負った朴政権は、韓国の命運をかけた踏み絵である。

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