先ごろ亡くなったリクルート(現リクルート・ホールディングス)元会長の江副浩正氏。就職情報誌のほか一つの情報産業を立ち上げ、会社を急成長させたことで、「ベンチャー起業家の草分け」とも呼ばれた人物だ。

しかし、1988年に政財官界の大物を巻き込む騒動となった、いわゆる「リクルート事件」によって贈賄罪に問われて逮捕・起訴されたためリクルートを去り、2003年に東京地裁にて懲役3年執行猶予5年の有罪が確定した。晩年は、オペラの興行団体「株式会社ラ ヴォーチェ」の代表を務めるほか、新国立劇場東京オペラシティの支援にも尽力していた。

リクルート事件発覚以後、政治家は「(金銭的に)クリーンである」ことが第一条件として求められ、選挙制度改革と政党助成金導入が行われたり、派閥の解体が進むなどした。その結果として、首相になる政治家は「小物」ばかりになり、短期間で次々と「首のすげ替え」が行われるようになった。

また、リクルート事件では、特捜検察がマスコミに情報をリークし、江副氏を徹底的に「悪人」として報道させたとも言われるなど、近年のライブドア事件などと重なって見えるところもある。こうした「事件」がそのつど、日本の経済を冷え込ませ、「失われた20年」をつくってきた。

日本では、一代で華々しい業績を上げたり莫大な資産を築くと、マスコミがつくり出す社会的嫉妬を受け、引きずり降ろされることが少なくない。善悪の正しい判断基準を持たないマスコミが「第四権力」として君臨する日本では、有力な政治家や起業家が狙い撃ちで報道されれば、たちまち社会から「抹殺」されてしまう。

こうしたことが何度も続いては、個人が大きな富を築くことができず、国の発展の道も閉ざされてしまう。

コツコツと自助努力し、成功・出世する人間を祝福することこそが、自分自身にも豊かになるチャンスを引き寄せるという普遍の法則を、日本人はもっと知るべきであろう。(宮)

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