先端医療センター病院は13日、世界で初めてiPS細胞を使った人間への臨床研究を許可すると発表した。順調にいけば2013年度中にも研究を始められるという。山中伸弥教授がiPS細胞の作製に成功してから、たった6年半で臨床研究が始まるのは、これまで治療法のなかった病気を治療できる可能性が出てきたためだ。14日付各紙が報じた。

今回、研究の対象となるのは「加齢黄斑変性」という目の病気で、高齢者の患者が多い。中でも、眼球の奥にある網膜の一部「色素上皮」が傷んで視界の中心部が見えづらくなる種類のものを扱う。手術では、傷んだ色素上皮などの代わりに、iPS細胞から作った細胞シートを貼り付ける。細胞シートは、既存薬が効かない患者のiPS細胞を8~10カ月ほど培養して作るものだ。

最初の臨床研究に「加齢黄斑変性」が選ばれたのは、iPS細胞にはガン化するリスクがあるが、目の細胞はガンになりにくく、もしガン化しても治療しやすいからだ。また、培養しやすく、必要になる細胞の数も少ないという理由もある。

こうした臨床研究は、初めは目や血液、神経細胞で行い、それから、心臓などの臓器に取り掛かるという。あと20年ほどで、再生医療が医療の現場で使われるようになるという声もある。

このiPS細胞を用いた治療のメリットは、拒絶反応の恐れがないということがまず挙げられるが、もう1つ、臓器移植が必要なくなり、脳死となった人の臓器を取りだして移植する必要がなくなるということもある。

脳死者からの臓器移植は、死者のあの世への旅立ちを阻害してしまう。宗教的に言えば、心臓が止まって約24時間経って初めて肉体から魂が抜けるが、その前に肉体にメスを入れると、麻酔なしの手術を受けるほどの痛みとショックがあるという。また、臓器にも魂が宿っているため、移植された側に提供側の魂が移動し、憑依状態になるケースもあるという。

医療の進歩が、多くの人の霊的な不幸を防ぐことになる。大いに期待したい。(居)

【関連記事】

2012年10月12日付本欄 iPS細胞で動物の臓器を人間に移植することは是か非か

http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=4997

2012年12月号記事 iPS細胞で脳死臓器移植を不要に 山中教授がノーベル賞を受賞 - Newsダイジェスト

http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=5059