中国の軍艦が自衛隊の護衛艦に、ミサイルの誘導などに使う射撃用レーダーを照射していた問題で、中国側は「やった、やらない」の水掛け論に持ち込んで真相をうやむやにしようという姑息な手段に出ている。
中国外務省の華春瑩(か・しゅんえい)報道官は8日の会見で、「日本側の見解は全くのでっち上げ。中国脅威論を誇張して、国際世論を扇動している」と発言。「日本は一体何がしたかったのか。今後は二度とこういう小細工をせず、対話による解決という正しい道に戻るよう望む」と“お説教"までする始末だった。
対する日本側は公表まで時間を置いて事件の状況を精査しており、解析結果の一部公表も検討している。安倍晋三首相は8日に出演したテレビ番組で、「国際ルール違反。中国は認めて謝罪し、再発防止に努めてほしい」と述べた上、「レーダーの向きを含め、目視でも写真でも確認している」と説明した。
射撃用レーダーの照射は攻撃予告にも等しい行為で、戦争行為に近い。「やっていない」と白々しい嘘をつき、しかも日本に責任転嫁する姿勢は、ならず者国家の悪名高い友邦・北朝鮮と何も変わらない。
例えば、北朝鮮は長らく日本人拉致問題を「でっち上げ」とうそぶき、挙句の果てに日本側が「反朝鮮人策動」を煽っていると責任を転嫁してきた。最近では2010年に、黄海で北朝鮮の魚雷攻撃で韓国の哨戒艇「天安」が沈没する事件があった際も、北朝鮮側はシラを切り通して、うやむやにした。今回のレーダー照射問題での中国側の姿勢と、何も変わらない。
日本にお説教する中国外務省の姿勢は、中華思想の表れにも見える。2010年には南シナ海問題に関して楊潔チ(よう・けつち)外相が、「中国は大国で、他の国は小さい国。これは事実だから仕方がない」と発言してひんしゅくを買ったが、「こっちは世界の中心の大中国様だぞ」という傲慢さが周辺国との一連の問題での中国の対応に見て取れる。
自分から挑発しておきながら「向こうが悪い」と真っ赤な嘘をつく中国が、国際社会の平和に責任を持つ、国連安保理の常任理事国として不適格なのは、火を見るよりも明らかだ。日本にもアメリカにも、「中国とはまず対話を通じて“信頼"を醸成するのが第一歩だ」という声がいまだに存在するが、国際ルールを無視し続けて核開発を続ける北朝鮮と同じ体質の嘘つき国家が相手では、信頼も何もあったものではない。
「嘘つきは泥棒の始まり」と言うが、まさにその「嘘つき」が尖閣諸島という日本固有の領土を「泥棒」しようとしているという厳然たる事実を認識しなければならない。東アジアの平和を守り抜くために、侵略国家の覇権主義を封じ込めなければならないと、日米は覚悟を固めるべきだ。
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