小野寺五典防衛相は5日、海上自衛隊の護衛艦「ゆうだち」が1月30日、東シナ海の公海上で、中国海軍の艦船から火器管制レーダーを照射されていたことを発表した。同19日にも、海自のヘリコプターに照射された疑いがあるという。現場は尖閣諸島周辺とされているが、中国による日本への挑発行為が、極めて危険な域に達している。

火器管制レーダー照射とは、ミサイルなどを発射する前に、目標物との距離や進路、速度、高度などを把握して追尾するために行うもので、後は、発射ボタンを押せば攻撃が可能な段階である。そのため、国際法上は、レーダー照射を受けた場合、反撃してもよいとされる。

レーダー照射を受けた護衛艦は回避行動をとったものの、照射は数分間続けられた。日本政府は在日中国大使館や中国政府に厳重抗議したが、中国側は6日の会見で、軍の単独行動だったことを示唆するにとどまっている。今回の事案以外にも、これまでにレーザー照射を受けたことがあったことが明らかになったが、公表していなかった。

最近、中国の尖閣付近での行動は活発化している。昨年9月に日本政府が国有化して以降、領海侵犯を常態化させ、12月には初めて領空侵犯を行っているが、中国はこのレベルでも日本が反撃してこないと認識し、次なるステップを踏むことだろう。

その一方、今年に入って鳩山由紀夫元首相や公明党の山口那津男代表、村山富市元首相など、親中派の政治家が相次いで訪中したが、この時期に、海上では日本の自衛隊の艦船がレーザー照射を受けていたことになる。中国は日本への挑発レベルを次第に上げながら、日本、そしてアメリカの反応を探っているように見える。

6日付のフィナンシャル・タイムズ紙は、第一次世界大戦の引き金となった、セルビア人の青年が、オーストリア・ハンガリー帝国の皇位継承者を殺害したサラエボ事件(1914年)と、尖閣問題が類似していると指摘。小さな問題が大戦を引き起こす可能性があると論じている。

レーダー照射は攻撃予告とみなされ、まさに戦争を引き起こしかねない行為だ。国交のある国に対して攻撃予告を行うのは常軌を逸している。

中国に挑発行為をやめさせるためにも、日本政府は「今後、中国が同じような事案を起こした場合、警告射撃を行い、それでもやめなければ攻撃する」と宣言すべきである。そうしなければ、近い将来、日本は中国の属国にならざるを得なくなる。(晴)

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