中国で習近平体制が始まったことで、チベットでは監視が強化されているという。

3日付産経新聞によると、今年に入ってから青海省黄南チベット族自治州では外部の人間の出入りが厳しく規制され、携帯電話やインターネットも通じにくくなり、州政府の関係者が民家や寺院を回って衛星アンテナを大量に没収していたという。

今年1月中旬には、チベット自治区のラサ市内で、僧侶ら15人が中国当局に呼び出されたまま、音信不通状態に陥っているという話もある。

一説によると、習近平総書記の政権基盤がまだ弱いことから、国内のメディアやチベット、対日関係について強硬姿勢を示さざるを得ないと言われる。もし、そうであるならば、権力基盤が強化されるに従い、宥和策に転じる可能性があることになるが、あまり甘い期待は抱かないほうがいいだろう。

習近平氏は、相馬勝氏が指摘するように「ガリガリの共産主義者」であり、筋金入りの「小毛沢東」だと言える。言論の自由に関しては規制を強化することはあっても、その逆はありそうにない。

また、相馬氏は、本誌連載「中南海インサイド・ウォッチ」(3月号)で、習近平氏が広州軍区を視察に訪れた際に、新華社電が「広州戦区」という表現で報道したことを指摘している。「戦区」とは、相馬氏によれば「実際の軍事行動を想定し、その任務を遂行するために線引きされた作戦区域」のことだ。

つまり、習近平氏の対日強硬姿勢は、弱い政権基盤を強化するためのポーズなどではなく、開戦をも射程にいれた戦略的な外交姿勢である可能性が高い。同様に、国内への規制強化も、一時的なものではないと考えるべきだろう。

ただ、裏を返せば、言論の自由は、習近平体制のウィークポイントであるとも言える。やや拙速にも見える昨今のメディアへの規制強化に、習近平氏の“焦り"が見えなくもない。(村)

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