大津市で2011年10月に起きた中学生のいじめ自殺事件について、調査を続けてきた第三者委員会は1月31日、中3の少年2人をいじめの加害者と認定し、「いじめが自殺につながる直接的要因になった」とする調査報告書を越直美市長に提出した。
なぜいじめが自殺の原因であると認定されるまでに、1年以上もの時間がかかったのか。それは、学校も大津市教育委員会も、この事件に対する責任から逃げ続けてきたことが大きな要因だろう。
自殺した生徒が通っていた中学は当初、いじめと自殺の関連を認めていなかった。しかし今年に入ってから、生徒が自殺した6日後に、校長が職員会議で「いじめが自殺の大きな要因であった」ことを認める発言をしていたことが判明している。
市教委も2012年2月、遺族が市に対する損害賠償を起こした際に、「いじめと自殺の因果関係はない」と主張していたが、事実関係の確認に消極的で、生徒に対して行った調査の結果も公表しようとしなかった。身内意識からなのか、市教委が学校側を擁護しているようにも感じられる。
こうした中、誰よりも苦しんでいたのは遺族だろう。遺族はいじめと自殺の関係を明らかにしようと何度も警察に被害届を出し、学校や市教委に真実を明らかにするよう働きかけてきた。子供を失った悲しみの中、遺族が学校や市教委らと戦うために、どれほどのエネルギーを費やしたか。そのつらさは想像を絶する。
もし、学校側に「いじめを許さない」という信念があれば、遺族がこんなにもつらい思いをすることもなかっただろうし、そもそも、自殺に至る前にいじめを解決することができたはずだ。
自民党の文部科学部会は今国会で「いじめ防止対策基本法案(仮称)」の成立を目指している(下記、関連記事参照)が、このような悲劇を繰り返さないためにも、責任逃れや保身を図っていじめを隠蔽する校長や教職員、教育委員会などへの処罰規定を導入するべきである。(晴)
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2013年1月29日付本欄 自民党「いじめ防止対策基本法案」骨子案 学校側の「隠蔽」も処分すべき
http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=5548
2012年9月号記事 大津いじめ事件で強制捜査「いじめを解決する方法」とは - Newsダイジェスト