自民党が31日、今夏の参院選からインターネットの選挙利用を全面解禁する公職選挙法改正案をまとめた。2月中の国会提出を目指すという。

現行の法律では、公示・告示後の選挙期間中には、定められたビラやポスター以外の文書図画を不特定多数に配布することは制限されている。しかし、前近代的な制度のままでは現代のネット社会には対応できないし、若者の選挙離れの大きな要因ともなっている。

ネット全面解禁となると、候補者や政党のメールの利用やホームページ、ブログの更新ができるようになり、フェイスブックやツイッターなどのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を使った投票の呼びかけもできるようになる。

これまでは、既成政党に入らない新しい政党・政治団体や無所属の候補者は、マスコミにも差別され、行動も制限されるという「参入障壁」が大きかった。それがネット解禁で変わっていく可能性があるだろう。

これを安倍首相のもとで自民党が認めようとする動きは画期的だが、その理由の中に、安倍氏が前回首相の時も、昨年末の衆院選の時もマスコミのバッシングに遭ったという「苦い経験」があるようだ。安倍氏は自身もツイッターで直接有権者に呼びかけ、ネット世論が味方してくれたということもあって、ネット選挙解禁に意欲的なのだろう。

となると、ネット解禁で今後考えられるのは、マスコミが最大の強みとしてきた、選挙前の世論調査によって政権交代や議席数を増減させるという、「世論誘導」が難しくなっていくということだ。

ネット世論とマスコミ世論はかなり違っている。ネット上で選挙活動が可能になれば、候補者の生の声を動画で聴けるし、政党の主張を比較する手段も増える。また、有権者同士の情報交換も盛んになるから、投票直前まで何が起きるか分からない。マスコミにとってはやっかいだ。

ネット時代になって、もはやマスコミが世論を好き勝手に操縦できる時代は終わった。ネット選挙解禁によって、実は変わるべきはマスコミだということに、マスコミ自身が気づく時が来ている。(仁)

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