フィリピンで昨年末成立した人口抑制法が今月17日から施行される。内容は貧困層へのコンドームやピルの配布、学校での性教育の促進、家族計画に関する情報サービスの提供などだ。人口抑制策はカトリック教会の反対圧力に遭い、14年以上も実現しなかったが、このたびアキノ大統領が圧力に抗し、成立に踏み切ることができた。

フィリピンの人口は2000年の約7700万人から現在は9500万人と急激に増加している。とくに10代の母親が生んだ子供は、年間15万人にのぼり、妊娠・出産が低年齢化している。それにもかかわらず、フィリピンは人口の8割以上がカトリックで、避妊は中絶とほぼ同じと捉えられているため、カトリック教会がピルやコンドームを入手できないようにしてきた。このため貧困層が子沢山でますます貧しくなる悪循環が生じ、経済発展の足かせになってきた。カトリック教会からは、法案の成立は信教の自由の侵害だという声がある一方、世論調査の結果では、10代の64パーセントが法案を支持しているという。

コンドーム自体も禁止するカトリック教会の立場は、これまでもアフリカでエイズ撲滅に積極的に貢献することができなかった。カトリックの信仰そのものは尊重されるべきとしても、教義の一部が社会の発展を阻害している現実は否定できない。幸福の科学は、胎児に魂が宿るのは妊娠9週目だという霊的真実を明かしている。この霊的真実を広めることが、子沢山によるフィリピンの貧困解決に寄与しうる。

また先の戦争では、日本軍は欧米列強の植民地からアジア諸国を解放するという理想を掲げていたが、フィリピンに関して言えば、マッカーサー元帥がフィリピンに戻って日本軍を追い出したため、フィリピンは独立の機会を失った。そのうえ、アメリカ人が強いのを見てフィリピンの人々は、黄色人種は白人より弱いという意識を刷り込まれてしまった。しかし、その刷り込みが正しくないことは、日本の戦後の発展が証明している。

先般のデルロサリオ外相の日本の再軍備に肯定的な発言を見れば、いまほど両国が経済的にも政治的にも友好関係を結ぶ好機はないといえよう。(華)

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