中国の週刊紙「南方週末」の新年号の記事が、中国当局によって民主化を求める内容から中国共産党を賛美するものに書き替えられた問題で、中国人民の「言論の自由」を求める声が大きくなっている。
同紙の記者は5日、中国版ミニブログのウェイボ(微博)で、2012年の1年間で、当局に掲載を差し止められたり、書き換えを命じられるなどの介入があった記事が1034本にも及んだことを発表した。
同紙の公式ホームページは6日夜、「党の介入はなかった」とする声明を発表したが、同紙の記者は「その声明も党の介入だ」と指摘。記者約20人がストライキを始めた。今回のような、検閲に対抗してのストは1989年の天安門事件以来、ほとんどなかったという。
7日には、広東省広州市の、同紙を発行する「南方報業伝媒集団」の本社前で、数百人から1千人とも言われる市民が、「言論の自由を」と書かれたビラなどを持って抗議活動を行い、記者たちを応援。3100万人以上のフォロワーを持つ女優・姚晨(ヤオ・チェン)も、南方週末を応援するツイートを行っている。
また、北京大や清華大などの大学教授や、香港や台湾の学識経験者ら27人が連名で、社説の書き換えを命じた共産党広東省委員会宣伝部トップの罷免を求める書簡を出した。
8日付日経新聞は、「南方週末の地盤である広東省は改革開放と経済成長で先行したうえ、報道の自由がある香港とも近く、香港のテレビやラジオも視聴できる」と解説するが、この記事改ざん問題をいち早く、報じたのも香港紙「明報」だった。イギリスの統治下で、人々が自由の風を十分に味わった香港周辺で、自由を求める声が止まないのは大きな意味があるだろう。
振り返れば、2011年5月、大川隆法・幸福の科学グループ創始者兼総裁は、香港で説いた法話「The Fact and The Truth(邦題:事実と真実)」後の質疑応答で、香港の人々にこう呼びかけた。「あなたがたこそ、中国人のリーダーなのです。ですから、私があなたがたに何らかの使命や責任を授けるとしたら、すべての中国人を啓蒙し、中国の未来の方向性を指し示す責任を受け入れていただきたいと思います。それこそ、世界中の人々が歓迎することです」(詳細は、関連記事へ)
この説法の翌々月の7月には、香港で民主化要求する40万人規模のデモが発生し、その後も、愛国教育の強化に反対するデモなどが、数千、数万人単位でたびたび発生した。今回の記事改ざんに対する抗議活動は、こうした自由を求める声が、香港を中心に隣接する広東省にも広がっていることを示している。(居)
【関連記事】
2013年1月5日付本欄 習近平体制で「言論の自由」封殺 民主化求める社説書き換え
http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=5422
2011年10月号記事 『香港での対話』 未来への羅針盤 ワールド・ティーチャー・メッセージ