2012年の国内政治を振り返ると、年末の衆院選の「民主惨敗・自民大勝」に集約される。野田佳彦前首相と民主党の「失政」が民意の猛反発を生んだ。一言で言えば「貧乏神にオサラバ」、国防面では「遺憾政府はイカン」だったと言える。

野田前首相は二言目には「政治生命を懸けて、消費税増税を成し遂げる」と言い続けた。その結果、自公との3党合意を取り付け、法案成立にこぎつけた。しかし、約束の「近いうちに解散して民意を問う」をうやむやにして、「ウソつき」の汚名を浴びた。それに耐えきれずに、とうとう11月の安倍晋三・自民党総裁との党首討論で「解散する。覚悟のない自民党に政権は渡さない」と大見得を切った。

本人としてはカッコいいところを国民に見せて、再び第一党になるつもりだったかもしれないが、結果は見るも無残な惨敗だった。

結局、野田氏の1年強の政権の印象は、「政治生命を懸けて、消費税増税法案を成立させた」というだけだ。本人は「歴史に遺る仕事」と自負するが、後世の評価は真逆で、「震災復興で増税を課し、国民の生き血を吸う吸血鬼政権だった」ということになるだろう。

さらに大きな問題としてクローズアップされたのが、国防だ。ちょうど野田氏念願の消費税増税法案が参院を通ったその日の8月10日、韓国の李明博大統領が竹島に上陸した。さらに8月15日、中国・香港の活動家らが尖閣・魚釣島に不法上陸。一気に、韓国、中国との領土問題が表面化した。

日本政府は、韓国に対しては強硬に反論したものの、竹島の韓国実効支配は何ら変わらず、中国に対しては尖閣の「国有化」を宣言するや、中国各地で反日暴動が勃発。日本車が壊され、日系企業が焼き打ちに遭い、日の丸が焼かれるなど、とても文明国とは言えない中国の蛮行が続いた。

これに対し、日本政府は「遺憾である」としか言えず、対抗措置を取るに至らなかった。さすがに平和ボケしていた日本人も、韓国、中国の蛮行に対して怒りが爆発し、民主党政権への反発と、自民党への期待が高まった。

だが忘れてならないのは、尖閣国有化後、初の日本人上陸を敢行したトクマ氏(ミュージシャン、当時・幸福実現党員)の勇気ある行動に対して、軽犯罪法で書類送検(のちに不起訴処分)するという「逆判断」を平気で行ったことだ。

このように、野田政権は誤った政策をとり続けた結果、国民の信を完全に失い、年末の衆院選で歴史的大敗を喫した。野田氏の心象風景が「三丁目の夕日」の世界であり、日本が今後も発展繁栄していくというビジョンが描けなかったのだろう。野田氏の功績は、民主党の貧乏神政権に引導を渡したことに尽きるのではないか。

2013年は日本人が「自分の国は自分で守る」気概を取り戻す年

年末の12月26日に発足した安倍・自民党政権の真価が問われるのは、2013年だ。

すでに市場は安倍氏の主張する金融緩和、インフレ目標2%などを歓迎し株価が上昇し続けているが、日本を取り巻く情勢は今年、さらに厳しくなることが予想される。

経済面もそうだが、国防の危機はさらに深刻化するだろう。中国の新指導者である習近平氏は、尖閣諸島のみならず、台湾、沖縄を手中に収めようとするだろう。北朝鮮は中国の尖兵となって、年初にも3回目の核実験を強行する可能性がある。そうなれば、北朝鮮は核兵器を使えるレベルになり、アメリカまで届く大陸間弾道ミサイルに核弾頭を積む日も近い。

日本は、オバマ大統領のアメリカが軍事費を削減し、在日米軍を縮小していく流れを受けて、「自分の国は自分で守る」という普通の国家になるチャンスでもある。安倍首相が提唱する「集団的自衛権の行使」や憲法九条改正のための国民投票の手続きの変更を進めるだけではなく、国民世論として喚起できるかどうか、正念場の年となる。

そして、その国防の重要性を立党以来3年半、訴え続けてきた幸福実現党が、自民党の「陰の内閣」として機能するだけでなく、実際に議席を持って国政のかじ取りをする手がかりをつかめるか。今年7月に予定されている参院選が注目される。

内外の国難は続くが、その苦しみの中で、日本人が誇りと信仰を取り戻すきっかけとなれば、未来に希望が見えてくる。その意味で、まさに日本にとって試しの年となるだろう。(仁)

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2013年2月号記事 2012衆院選 「国防強化」「原発推進」 歩むべき道を示した幸福実現党の戦い

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