宇宙航空研究開発機構(JAXA)は26日、相模原キャンパスで2014年12月打ち上げ予定の小惑星探査機「はやぶさ2」の本体を初公開した。
「はやぶさ2」は2010年に帰還した「はやぶさ」の後継機である。基本設計は同じで、エンジンの推進力を20%強化している。「はやぶさ」は小惑星イトカワに接近し、人類初のサンプルリターンを果たしたが、「はやぶさ2」は、イトカワよりも水や有機物の存在する可能性が高い小惑星「1999JU3」からのサンプルリターンを狙う。今回は表面のサンプルだけではなく、銅板を落下させてクレーターを作り、小惑星の内部のサンプルも回収する予定だ。
この「はやぶさ2」の総予算は約314億円。しかし、文部科学省が要求した今年度予算73億円は半分以下の30億円に削られ、計画の遅れが懸念されている。
しかし、こうした基礎研究への投資は日本にとって必要なものだ。日本は先進国であるため、ものづくりの人件費が途上国よりはるかに高い。そのため、「高いコストや値段に見合うと感じられる」価値を生み出すことが、日本のものづくりの未来を拓く。そのためには、革新的な技術、他国に真似のできない発明が必要だ。
本誌2013年2月号(12月25日発売)には、「はやぶさ」のプロジェクトマネージャーを務め、「はやぶさ2」ではシニアアドバイザーを務めるJAXAの川口淳一郎教授が登場している。教授は取材に対し、今から50年後ぐらいには人類の「太陽系大航海時代」が来ると考えていると語り、次のように続けている。「(東日本大震災があっても)日本はまだやれると感じるためには、まだこの世にないものを作れということ。その力を発揮できるようになれば、日本の将来は何も怖いものはない」
経済産業省によると2009年度、日本の衛星やロケットなどの宇宙機器の売上高は約2700億円だったが、宇宙開発で先んじているアメリカはその20倍弱の約4.7兆円もあった。宇宙は今、夢があるだけでなく、ビジネスの可能性にも満ちている。日本政府は民主党政権の子ども手当のようなバラマキではなく、未来産業への投資として、宇宙開発の予算を増やすべきだ。産業の新興や国力の増大により、安倍晋三首相の考える「日本を取り戻す」ことにもつながるはずだ。(居)
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