地震を予知できない地震学者(正確には地形学者)の判断によって、また一つ原発の再稼働に「待った」が掛かった。国の原子力規制委員会(島崎邦彦委員長代理、東大名誉教授・地震学)の専門家調査団は26日、東北電力・東通原発(青森)敷地内の断層について、「活断層の可能性がある」という最終判断を示した。
真上に原子炉などの重要施設がないため廃炉には至らないが、耐震対策が必要となり、東通原発は当面、再稼働できなくなる見通しだ。同委員会の「活断層の可能性」という判断は、廃炉が濃厚となった敦賀原発(福井)に次いで2例目。
だが、本誌や本欄でも再三、指摘しているが、2000年の鳥取県西部地震や、05年の福岡沖地震、07年の新潟県中越沖地震など、過去の大地震の多くが活断層と関係ない場所で起きており、逆に、地震後に新たな断層が見つかることも多い。
そもそも、地震予知計画が日本で始まって以来、予知に成功したケースはなく、1995年の阪神・淡路大震災や、2011年の東日本大震災などの大地震は、いずれもノーマークだった場所で起きている。また、関東平野では大きな地震が何度も発生しているが、深い部分で起こっているため、断層のずれが地表まで達することがなく、活断層として把握できないという。
誤解を恐れずに言えば、世界全体の地震の10分の1が日本で起きており、東京大学地震研究所のホームページには次のように記されている。「日本であれば、首都圏に限らず、どこであってもM7程度の地震が起きることが考えられます。日本の国土は地震によって作られてきました。日本で暮らす限り、M7程度の地震に備えることは最低条件ですし、逆に、それを繰り返し乗り越えてきたから、今の私たちがあるのです」
もはや、活断層の存在を基準に原発を止めることに、ほとんど意味はない。
こうした議論を展開すると、「そもそも地震の多い日本に原発をつくることが間違いだ」と指摘する人もいるだろうが、M9.0の東日本大震災では、もっとも震源に近い女川原発(宮城)は自動停止して、ほとんど被害が出なかったばかりか、数百人の避難者の受け入れ先になった。日本の原発技術は世界一なのだ。
福島第一原発の事故も地震ではなく、津波によって電源を失ったことが原因であり、もっと言えば、当時の菅民主党政権の不手際で被害が拡大したのである。
学者たちの努力には率直に敬意を払いたいが、地形学者や地質学者が、「これは活断層だ!」「ここにも活断層がある!」と、全国の原発を片っ端から潰していこうとする姿、そして、それを何も考えずに追認する政治家たちの無能さには怒りすら覚える。
今後も、美浜原発(福井)や志賀原発(石川)などの調査を予定しているが、同委員会の「活断層宣告」は、いまや原発にとっての「死刑宣告」になりつつある。この流れをどこかで断ち切らなければ、この日本が衰退してしまう。
26日に発足した第2次安倍内閣では、石原伸晃氏が環境相兼原発事故相に就任した。同内閣は一刻も早く、原発嫌いの左翼政権がつくった、原発の「規制」を目的にした原子力規制委員会を、「原子力推進委員会」へと生まれ変わらせ、安全を確認した全国の原発を速やかに動かすべきである。(格/晴)
【参考記事】
2012年12月22日付本欄 「無能」地震学者が活断層探しで原発を止める「傲慢」
http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=5345
2012年12月19日付本欄 六ヶ所村で活断層探し 原発は再稼働を前提に議論せよ