1月の「財政の崖」で合意できても、アメリカの財政危機は続き、国防費の大幅削減が実行される。写真:AFP =時事

2013年2月号記事

2013年は、どういう年になるだろうか。世界はどこも危機が来ると予想されている。

アメリカは1月の「財政の崖」をクリアしたとしても、その後もずっと財政危機をどうするかで持ちきりになる。

このままなら毎年8兆円規模の国防費が削減され、2つの空母艦隊の退役、空軍戦闘機の3分の1減、核兵器維持の予算のカットが見通される。クリントン国務長官が進めた「アジア回帰」による中国包囲網は、風前の灯。

長期戦となったEU危機は、結局はドイツが本気でギリシャやスペインなどに資金を出して救済するかどうか。ドイツは支援疲れが色濃く、南欧各国のユーロ離脱は時間の問題だ。

中国は世界一の軍事大国へ

今のところ、中国がひとり気を吐く。習近平総書記は軍の視察で「一戦を交え、勝ち戦を交えることが強軍の要」と述べ、もはや開戦しそうな勢いだ。実際、この発言の2日後に日本の尖閣諸島への領空侵犯を仕掛けたから、どうも本気らしい。

中国は2016年に購買力で計算した経済規模でアメリカを抜き、2020年代には国防費が6000億ドル(約50兆円)規模の世界一の軍事大国になるという予測がある。習氏が「中華民族の偉大な復興が今ほど近づいている時はない」と力説するだけのことはある。

アメリカはすっかり元気がない。自国の情報機関が「2030年までに中国などの台頭で、アメリカが唯一の超大国の時代は終わる」とわざわざ衰退シナリオを披露するぐらいだ。

日米欧は社会保障の重みで衰退シナリオ

アメリカの財政危機も、ギリシャなどの借金も、年金など社会保障のコストが膨らんだことが原因。アメリカは2010年代後半には年金支出が国家財政の半分に達し、ギリシャでは年金削減に反対するデモが続く。

日本政府の財政赤字が膨らんだのも同じ理由で、「年金や医療サービスを増やしてほしい」という国民の声にそのまま応えた結果だ。

アメリカもヨーロッパも日本も、国民にいい顔をしてお金をばらまいてきたけれども、稼ぐ以上には払えず、衰退のシナリオしか描けなくなっている。

一方、中国は、「2020年には台湾を併合し、2030年には6隻の空母を持ち、2040年には西太平洋から米軍を追い出す」構想を立てているという。

中国の明確なビジョンと、日米欧の悲観的な将来像とでは、残念ながら“勝負"は見えている。

世界の繁栄ビジョンを発信する幸福の科学

この時代の流れに抗して、幸福の科学は日本と世界の繁栄のビジョンを発信している。大川隆法総裁がこの1年間に100冊にのぼる書籍を発刊したことでも分かるように、新時代の価値基準を打ち立てつつある。

11月29日に収録された江戸時代の思想家で「石門心学」を開いた石田梅岩の霊言では、近代の福祉国家の理想をバッサリと切り捨てた。

「ちゃんと働けるような立場にあるのに、それをしなかった人に対しても手厚く扱うという考え方は、基本的には、『人間の堕落につながり、社会の破滅につながる』と、私は思っています」

各人が老後の備えをするのではなく、政府に丸ごと依存した結果が日米欧の借金の山だということだ。そこで「政府は手厚い年金事業をやるべきではない」などと言うと、弱肉強食の考え方のように受け取られがちだが、国民一人ひとりを“家畜"のようには扱わないと言っているだけなのだ。

真の繁栄を築くには

現代ほど価値判断が難しい時代はない。唯物論が国是の中国の膨張、宗教同士の対立・戦争、科学と生命倫理の問題などについて、これからの時代の「正しさ」はどこにあるのか。

これまでも新しい時代の価値基準は、宗教が生み出してきた。近代の幕開けとなった宗教改革で、ルターは「それぞれの職業は神から与えられたもの」という天職の考え方を打ち出した。続くカルバンはさらにこれを深め、職業的成功と神の栄光を結びつけた。

富を否定的に見ていたキリスト教国で新しい「正しさ」が打ち立てられ、欧米はその後、世界規模の繁栄を築いた。

日米欧の危機を吹き飛ばし、真の繁栄を築けるかどうかは、幸福の科学の発信するビジョンと価値基準を強く信じ、行動する人がどれだけ多く出るかにかかっている。

(綾織次郎)