日銀は20日、10兆円の追加金融緩和を決めるとともに、1%の物価目標を2%に引き上げる方向で検討に入った。だが、市場はすでに「織り込み済み」なのか、株価は前日の高騰の反動もあって下落。まだまだ今後の実効性を見たいというところだろう。
日銀の白川方明総裁は衆院選以前は、自民党が公約として掲げた「2%程度のインフレ目標の導入」に対して、「当面1%を続ける」と否定的発言をしていた。
だが、自民党が大勝し、安倍晋三総裁が2%の物価目標を政府と日銀の政策協定(アコード)で締結する方針を表明すると、一気に軟化。この日の政策決定会合でも、追加金融緩和と、インフレ目標についても次回1月の決定会合で新政権との政策協定文書を作成する見通しを決めた。
白川日銀総裁が、安倍氏の軍門に下った形で、ようやく日銀が少しずつ重い腰を上げ始めた。株式市場はこの日は反落したが、昨日は大幅上昇し8カ月半ぶりに1万円台を回復。野田佳彦首相が解散を表明して以降、17%も値上がりし、円も大幅安となり、安倍政権への期待度の高さがうかがえる。
安倍氏が「デフレ脱却」を公言し、幸福実現党が掲げた金融政策をそのまま行おうとしていることは、日本経済にとって良いことだ。
自民党が圧勝した17日、大川隆法・幸福の科学グループ創始者兼総裁は「安倍新総理スピリチュアル・インタビュー」を収録。その中で安倍氏の守護霊はこのように語った。
「立木大先生が、日銀を攻めておられたのをお受けして、やっぱり、あそこを開かせようとして今、やってますので、金融緩和を。株価が、首相になる前から上がり始めておりますから、あなたがたが言ってるのは正しいんだろうと思いますけどね」
だが、市場がまだ半信半疑なのを見ても分かる通り、要は実行力が伴うかどうかだ。デフレ脱却に向けて、インフレ目標をきちんと掲げて、大胆な金融緩和ができるのか。そして同時に、大規模な公共投資を含めて、未来産業等の育成ができるのか。これからが安倍政権の正念場だろう。(仁)
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2012年11月26日付本欄 安倍自民総裁の金融緩和策が正論である本当の理由