自民党は公明党と合わせて320議席以上を獲得し、大勝した。だが、最近2回の衆院選を見ても、2005年は自民が296、2009年は民主が308と、二大政党が票を取り合い、それ以外の政党や、新規参入しようとする政党には、今の選挙制度ではきわめて不利となっている。

現在の小選挙区・比例代表並立制の選挙制度が採用されたのは1996年の衆院選からだが、この制度は少数政党に極めて不利となっている。その主なものを挙げてみよう。

1)小選挙区制は二大政党に有利

小選挙区とは、全国300選挙区に分けて、それぞれ1人だけが当選するため、二大政党の「どっちが勝つか」の話題が中心となり、それ以外の政党は割り込みにくい。

以前の「中選挙区制」であれば、一選挙区で3~5人当選者が出るため、少数政党でも当選する可能性が高かった。

つまり、中選挙区よりも小選挙区のほうが、有権者の票が「死に票」になる可能性が高いのだ。やはり中選挙区に戻して、有権者の選択の幅を広げるべきだ。

2)比例ブロックの「ドント方式」も大政党が有利

比例代表制は、もともと小選挙区で不利な少数政党の救済のために採用されたと言われている。ところが、その票の配分は「ドント方式」という有権者によく分からない複雑な方式で、実は大政党に優先的に当選者が配分される形になっている。

しかも、既成政党には小選挙区にも「重複立候補」が認められているため、小選挙区で落ちた候補者が比例で「復活当選」するケースが多い。だがこれは、政党要件を満たさない政党には適用されない。

3)投票用紙に政党名がない! なぜ「諸派」なのか?

投票用紙に書く際に参考にする小選挙区の立候補者名簿には、候補者名の下に政党名が記載されている。ところが幸福実現党の場合は、候補者名の下の政党名は空欄となっている。

これはなぜか? 幸福実現党は「諸派」扱いとされているため、政党名が書かれていないのだ。しかし、比例名簿には「幸福実現党(略して「幸福」)と載っている。これでは、投票所に来てから、「幸福実現党に入れよう」と思った人が、小選挙区では政党名がないため、入れないケースが多発する。

4)政党助成金は憲法違反! 供託金で新規参入を阻止している

幸福実現党が「諸派」扱いされる理由として、マスコミが金科玉条のように言うのが「政党要件を満たしていない」だ。だが彼らが言う政党要件とは、政党助成法で「国会議員5人もしくは、直近の国政選挙で有効投票数の2%以上を占める」と規定されていることを指す。だが、この要件の前には、「この法律において」と但し書きがある。つまり、国家が政党助成金を出す際の基準にすぎない。

既成政党には政党助成金が税金から支払われ、まだ政党扱いされない政治団体には、政党助成金がないばかりか、立候補者1人あたり300万から600万円の供託金を国に払わねばならない。つまり、既成政党の既得権益を守るために国民の税金を使う一方、幸福実現党は多額の供託金を国に「寄付」しているのだ。

このように、現在の衆院選の制度自体が、既成政党を有利にし、新しくできた政党や政治団体に極めて不利になるようにできている。これは明らかに、憲法に謳う「政治参加の自由」を侵害している。

それに加えて、幸福実現党に対しては「宗教政党」だからという不当なレッテル貼りによってマスコミはその主張や政策をほとんど取り上げない。

このような厚い「新規参入阻止のカベ」を突破して「政党」と認められ議席を持つのは、並大抵のことではない。日本に「政治参加の自由」を定着させるためにも、幸福実現党の戦いが注目される。(仁)

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2012年2月15日付本欄 小物政治家を生んだ小選挙区をやめ、「中選挙区」に戻せ

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