衆院選がいよいよ16日、投開票される。2009年に行われた前回の衆院選で、民主党による「政権交代」の風を煽ったマスコミは、今回も世論調査に基づく議席数予想を大々的に報じている。各紙調査によれば、自民党と公明党が合わせて300議席に迫る勢いだという。しかし、票を投じる前から「結果はこうなります」と宣伝されては、他党に投票しようとする有権者は萎えてしまう。

まるで賭け事でもしているかのように当落予想を打ち上げる各メディアの選挙報道は、有権者の中立な判断を曇らせる「選挙妨害」である。こうした弊害を防ぐために、選挙直前に行われた世論調査の公表を禁止するよう、法律で定めている国もある。例えば、19日に大統領選が投開票になる韓国では、13日以降に行われた世論調査は公表されない。

こうした例にも習い、フェアな政策議論は別にして、「結果はこうなる」と予告して有権者を惑わすような報道は、慎むべきではないか。

フェアな報道という点では、今回も幸福実現党に対する不公正な報道が目に付いた。特筆すべきは、名古屋圏で圧倒的なシェアを誇るブロック紙、中日新聞である。

幸福実現党は愛知11区に中根ひろみ、岐阜1区に野原典子、5区に加納有輝彦の各候補を擁立している。しかし中日新聞は、政策比較や、各候補の人柄を伝える記事で、幸福実現党の候補者をわざと取り上げない不誠実な報道姿勢を取った。特に公開討論会の内容を伝える地方版の記事では、野原、加納両候補が討論会に出席していたにもかかわらず、両候補の主張を1行も書かない徹底ぶりだった(12月1日付 岐阜近郊版、東濃版)。

こうした報道姿勢のあり方について、中日新聞選挙調査室の山田恭司室長は本誌の取材に対し、「わが社で定める一定の基準に基づいている。全候補者を載せているわけではない。政党要件や政治実績の有無などから判断している」と述べた。

公職選挙法などの選挙関連法で定める政党要件は、すでに国会に勢力をもっている政党に有利なように作られている制度だ。報道機関はこれに縛られる必要はないのに、報道機関と政府が一体化してしまっている。

だが、多様な意見を議論を重ねて収れんし、国民が国のかじ取りを選択してゆくというのが民主主義の本質だろう。マスコミは多様かつ正確な情報を提供して、国民の意思決定に資するという責務がある。「政治をやりたければ、政党要件を満たしてみろ」という理屈で、新規参入に対する締め出しを行うのは、マスコミ自身の役割に反する行為である。

日本のメディアは、「中立」を建前にした報道で、民主主義の旗手たる「公器」を自認しているつもりだろう。しかしその実、報道の名の下に選挙妨害がまかり通っているということに、国民は気づかねばならない。

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2012年12月14日付本欄 【速報第6弾】衆院選 大川隆法総裁が名古屋駅で街宣 「自民党は幸福実現党の政策を取って、恥ずかしいと思わないのか」

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2012年12月5日付本欄 各紙は今回も幸福実現党を「諸派」扱い 参入障壁を課す旧メディアの時代は終わりつつある

http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=5247

2011年7月号記事 国難をもたらしたマスコミは責任をとれ─中日新聞よ、選挙は公平に報道しなかんがね

http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=2038