「(3年かけて)政策を鍛え上げてきた」

自民党の安倍晋三総裁が政見放送で訴えた自信の金融政策が、最近の株高の原因と言われて話題になっている。

12月10日発売の週刊ポストでは、「株式のプロ11人が『アベノミクス相場』を大予測」と題して、安倍総裁の訴える政策が外国人投資家に好感されて、株高や円安を進めたとの分析記事を載せている。

「無制限の金融量的緩和」「ゼロからマイナスの政策金利」「2~3%のインフレ目標」といった金融政策のことだが、本欄で繰り返し指摘しているように、それとほとんど同じ内容を、2009年のマニフェストで幸福実現党が明記している。また、みんなの党もインフレ目標などの政策を掲げていた。

従って、「政策を鍛え上げた」というよりは、いろいろ考えた結果、やはり幸福実現党の政策の正しさに気づいただけ、ということだろう。

というのも、「建設国債を日本銀行に全部買ってもらう」という趣旨の発言を安倍総裁がしたからだ。

この発言が「日銀による国債引き受け」と受け止められ、その後、安倍総裁は、「日銀の買い切りオペによるもので、直接買い取りではない」といった釈明をしている。

経済評論家の池田信夫氏が指摘しているように、安倍総裁の説明は非常に不思議な表現となっている。市中に流通している国債に、「建設国債」と銘打った種類の国債があるわけではなく、公共事業費の範囲内で発行される国債のことを便宜上、建設国債と呼んでいるだけだからだ。従って、安倍総裁の言うように、買い切りオペによって「建設国債」だけを買い取ることはできない。

要するに、安倍総裁は、金融政策についての基本的な知識が欠けていたのだろう。このことから自民の経済政策は「鍛え上げた」政策というより、単純に幸福実現党から「取り込んだ」政策に過ぎないことが分かる。付け焼刃の知識で語ったために、論理がやや迷走してしまったのだろう。

安倍総裁は、政見放送で、政権公約について「できることしか書いていない」と自信満々に答えていたが、その内容は、幸福実現党が3年以上前から訴えてきた政策のうち、自民党として実現可能と思われるものだけ選んで書いた印象を受ける。

とりわけ「日本の危機。だから自民党」との政権公約のキャッチフレーズが、その発表の1~2ヵ月前に発表していた幸福実現党の「日本危うし! だから幸福実現党」と瓜二つだったのは、もはや失笑するしかない。(村)。

【関連記事】

2012年11月23日付本欄 自民党の政権公約は、やっと09年幸福実現党の公約に追いついた

http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=5166

2012年11月26日付本欄 安倍自民総裁の金融緩和策が正論である本当の理由

http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=5209