衆院選で、唯一「原発推進」を明確に訴えるのは幸福実現党である。6日、同党の北海道ブロック比例代表から出馬している小島一郎・党幹事長代理は、停止中の北海道電力泊原発付近(北海道泊村)で、早急に原発を動かすべきだと街頭演説を行った。同党は2日にも、札幌市内で150人規模の「泊原発再稼働を求めるデモ」を開催しており、積極的な原発再稼働の主張が際立っている。

小島氏によると、約20年前、北海道の電気料金は日本一高いレベルだったが、泊原発ができて以来、全国平均を下回るほど料金が安くなった。しかし、東日本大震災での原発事故後、北海道電力は泊原発を再稼働できない状態が続き、現在、火力発電に頼っている。その影響で一日6億円の追加コストがかかり、大きな負担となっているという。

この冬、政府から7%の節電を要請されている北海道電力は、大口事業者に対して、電気料金を割り引く代わりに電力不足の際には電力使用を抑えるという条件のプランを提案。105社が契約したが、企業にとって不安定な電力供給は、生産活動にとって大きなリスクとなっている。

全国的にも、原発を動かせない電力各社が電気料金を上げているため、企業が海外への移転を始めるなど産業の空洞化も叫ばれている。製錬で電気を使う非鉄業界では、業界全体で1キロワット時当たり1円の値上げで年間約50億円のコスト増につながるという(6日付日経新聞)。

北海道では、11月末には送電線の鉄塔が倒れた影響で、室蘭市や登別市などの5万6千戸が停電。小島氏が街頭演説した今月6日にも、暴風や落雷によって同じ地域の約7100戸が停電となった。寒さの厳しい北海道では、停電は即、人命にかかわる。また、電気で制御している水道の凍結を防ぐヒーターや、路面凍結を避けるロードヒーティングなどが機能しなくなれば、交通・生活インフラが大打撃を受ける。

天候などの条件に左右される太陽光や風力では、まだまだ原発に代わるほどの安定的かつ大量の発電は期待できない。にもかかわらず、衆院選では、民主党や日本未来の党など、多くの党が「脱原発」や「卒原発」などと無責任な主張を続けている。

また、火力発電に必要な化石燃料の9割近くを海外から輸入している状況を踏まえれば、火力に依存することは、日本の電力を、海外にゆだねることを意味する。結局、脱原発は、脱発展・脱繁栄であり、日本という国家の自殺行為に等しい。

このような現実から目をそむけ、「原発が無くても電気は足りる」と、脱原発を推進するのは無責任である。今必要なのは、原発の安全性を高めて再稼働し、安価な電力を安定的に供給することである。(晴)

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