北海道では、冬型の気圧配置で強風や吹雪に見まわれた影響で、27日朝から室蘭市や登別市などで最大約5万6000戸が停電した。28日午後6時の時点で8200戸あまりが停電しており、全面復旧は遅ければ30日になる見込みだという。この停電からは、北海道における冬の電力不足がもたらす危険が伺える。

冬型の気圧配置が強まった28日の明け方、登別市では今季最低の-5.7℃を記録した。登別・室蘭市内では、停電で暖房が使えなくなり、住民290人が避難所で一夜を過ごした。車の中で暖房を使い、一夜を過ごす人もいた(28日付北海道新聞朝刊)。自衛隊は、道から災害派遣の要請を受け、登別市にストーブや毛布を届けている。

室蘭市に住む40代主婦は、停電後一夜明けた28日、本誌取材に対し次のように話した。

「信号も止まっていて、警察官が交通整理をしていました。昨日のお昼には、私の勤めているスーパーがやっと開いて、温かいものを食べに多くのお客さんが詰めかけました。実家は停電していて、たまたま石油ストーブがあったので暖を取ることができましたが、また停電が起こったら大変です」

今回の停電を受けて、北海道では極寒期の停電へのさらなる危惧が高まっている。しかし、その停電の可能性を高めてしまうのが「脱原発」である。

北海道電力では、泊原発の稼動時には主としてピーク時の発電量調整用だった火力発電所が、泊原発停止に伴い、一日中フル稼働を続けている。しかし、北海道電力の火力発電所のトラブルは2012年には前年の1.6倍に増加しており、発電設備が同時に複数台停止する事態も起きている。もし2月の電力使用ピーク時に火力発電所がトラブルで停止すれば、大規模停電を引き起こしかねない。

折しも滋賀県の嘉田由紀子知事(62歳)は27日、次期衆院選に向けて「日本未来の党」を結党した。「卒原発」を掲げ、原発反対を旨とする党と協力を図るという。しかし、原発停止で電力が足りなくなり、停電が多発して国民生活に被害が出た場合、それは電力会社ではなく、政治家の責任だ。

今回の北海道の停電は悪天候による“天災"だったが、電力の供給不足による停電が起これば人災である。政治家は票欲しさに「脱原発」のマスコミ世論に迎合することなく、原発再稼働の決断を下さねばならない。(晴)

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