自民党は21日に発表した政権公約の中で、初めて「いじめ防止対策基本法」を制定することを明記した。しかしこれは、幸福実現党が2009年から訴えている「いじめ防止法」と酷似している。

自民党が今回政権公約に明記したいじめ関連政策は以下の通り。

  • 第一に守るべきは、いじめの被害者。いじめを繰り返す児童生徒への出席停止処分や、行為が犯罪に該当する場合は警察に通報する、道徳教育の決定など、今すぐできる対策を断行。
  • 「いじめ防止対策基本法」を制定。全都道府県や全市区町村で「いじめ防止条例」を制定する。いじめ対策アドバイザーを設置するなど統合的ないじめ対策を行う。いじめ対策に取り組む自治体を、国が財政面などで強力に支援。
  • いじめや不登校の解決のため、スクールカウンセラーの充実など、問題を早期に発見、適切に対応できる体制をつくる。

そして、幸福実現党が2009年に発表したいじめ関連の政策は以下の通りだ。

  • 「いじめ防止法」を制定。教員・校長・教育委員会・PTAのいじめ加担や隠蔽に対し、厳しい措置を行う。
  • 学校内部に一般の社会と同じような法律や「正義」が通用するようにする。
  • いじめ加害者への出席停止など規律重視の指導を行う。
  • 教育委員会に民間人の常識を導入した外部チェックの仕組みを作る

このように、自民党の「いじめ防止対策基本法」は、2009年に幸福実現党が出した「いじめ防止法」に酷似している。幸福実現党の政策を参考にしていることは明らかだ。だが、公党が他党の公約を真似する場合は、何らかの断りがあるべきだろう。

それに、自民党の「いじめ防止対策基本法」は、いじめ解決のためには決定的に足りないものがある。それは、学校や教育委員会のいじめ隠蔽について、何も対策がなされていないことだ。大津のいじめ自殺事件をはじめ、多くのいじめ自殺事件が学校や教育委員会のいじめ隠蔽により引き起こされたことを考えると、対策が不十分だ。

また、スクールカウンセラーを増やすというが、スクールカウンセラーは、善悪の判断を行い、いじめを解決する立場にはなく、あくまで学校の管理下にある。学校ぐるみでいじめ隠蔽を行っている場合、「被害者と加害者の気持ちを聞いた」ことで解決とされ、いじめが隠蔽されてしまう例もある。

幸福実現党は2012年の主要政策では「いじめ禁止法」を制定するとしており、学校や教師の対処責任として「いじめへの加担、黙認、隠蔽は懲戒処分」と明記している。そして既に幸福の科学グループとして多くのいじめを解決してきた実績もあった上で、長期的な法整備に言及しているのだ。

さらに、いじめの根本的な原因は、教育から普遍的な宗教的価値観、つまり神仏の視点が取り除かれ、善悪の価値判断がなくなってしまったところにある。自民党は「道徳教育」には言及しているものの、「神仏の視点」までには踏み込んでいない。「なぜいじめを行ってはいけないか」という問いに対しては、幸福実現党が掲げる新・日本国憲法前文に書かれている「人間は神の子、仏の子である」という前提を持っていなければ、根本的な答えを出すことはできないだろう。(晴)

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2012年11月23日付本欄 自民党の政権公約は、やっと09年幸福実現党の公約に追いついた

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2012年12月号記事 いじめは必ず解決できる【第9回】いじめ隠しはまだ続いている

http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=5044