衆院選を控え、各マスコミは安倍晋三総裁率いる自民党の政権公約(マニフェスト)を大々的に報じている。だがよく見ると、2009年春に立党し、その夏の衆院選で300人以上の候補者を立てて戦った、幸福実現党の09年当時の政権公約に少し追いついた格好だ。
21日に発表された自民党の主な政権公約は、以下の通りだ(以下、同党政策パンフレットより抜粋)。経済「名目3%以上の経済成長を達成します」/教育「『いじめ防止対策基本法』を成立させ、統合的ないじめ対策を行います」/外交・安全保障「日米同盟の強化のもと、国益を守る、主張する外交を展開します」「憲法改正により自衛隊を国防軍として位置づけます」
では次に、幸福実現党が立党した09年夏に、同党が発表した政権公約を振り返ってみたい(以下、同党の主要政策より抜粋)。経済「年率3%の経済成長を果たし株価を2万円台に乗せます」/教育「いじめ防止法を制定し、学校からいじめを追放します」/外交「日米同盟を基軸とし、国益重視の外交を行います」「(新・日本国憲法試案により)国民の生命・安全・財産を護るため、陸軍、海軍、空軍よりなる防衛軍を組織する」
念のため、09年の自民党の政権公約を確認してみると、外交分野では「日米安保体制のたゆまぬ信頼向上は、必要不可欠です」などと歯切れが悪く、当時の民主党が強調していたバラマキ政策に対抗するような左翼色の強い政策が目立つ。「3~5歳児の教育費用は段階的に軽減し、平成24(2012)年度には完全に無償化」「(高校生・大学生を抱える家庭への)低所得者授業料無償化、新たな給付型奨学金の創設」「日雇派遣の原則禁止」
当時は、09年4月に北朝鮮がミサイルを発射し、日本上空を通過させたにもかかわらず、麻生内閣の河村建夫官房長官は「ミサイル」を「飛翔体」と呼び続ける弱腰ぶりを見せた。また、直後の5月には、北朝鮮が地下核実験を行ったにもかかわらず、その夏の衆院選で自民党も民主党も「国防」や「中国・北朝鮮の脅威」を訴えることを避けた。「国難が迫っている」「国防強化が急務」と叫び続けたのは、幸福実現党だけだった。
この事実については、当時、幸福実現党への取材を重ねながらも、ほとんど報道しなかったマスコミ各社は気づいているはずだ。また、今回の自民党の政権公約が、09年当時の幸福実現党のものと似通っていることも分かっているはずだ。3年以上も遅れて主張し始める自民党も自民党だが、それを報じないマスコミもマスコミだ。
マスコミは、民主党に裏切られた期待を今度は自民党に託すつもりなのかもしれない。だがそもそも、09年の衆院選で「政権交代」と煽ったのは、「自民党では日本がダメになる」という気持ちだったからではないのか。最近の報道を見ていると、自民党に好意的なものも多いが、では、果たして自民党がこの3年間の野党生活で、何を転換したのだろうか。さらに踏み込めば、民主党政権下で噴出した国防や外交、経済や教育などの問題は、元を正せば、ほとんど自民党政権の「負の遺産」とも言える。(格)
【関連記事】
2012年2月12日本欄 大阪維新の会の公約は、なぜ幸福実現党に似る?
http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=3811
2012年11月21日本欄 幸福実現党の公約は、「強い国・日本」への最善プラン
http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=5164
【関連サイト】
幸福実現党HP 日本危うし! だから幸福実現党
http://www.hr-party.jp/inauguration/agenda2012.html
幸福実現党HP 過去の主要政策