2010年12月号記事

「安売り」が歓迎されている日本経済だが、消費者としてそれを喜んでばかりはいられない。

安易な「安売り」礼賛は日本経済を衰退させる危険をはらんでいる。 (編集部 山下格史)

いま街を歩けば、いたるところで「安売り合戦」が繰り広げられている。

牛丼店では、吉野家、松屋、すき家の三大店が、並盛一杯200円台を巡る"牛丼戦争"を展開中。

他店に客を奪われないように、あっちが下げればこっちも下げるという熾烈な値引き合戦を行っている。

居酒屋でも、一品200~300円台の「均一居酒屋」がしのぎを削る。だが、こうした涙ぐましい努力の中でも、2009年の居酒屋全体の売上高は前年比で5・2%減少しており、業界からは「これ以上安売り合戦が続くと消耗戦になって、最終的にはどの店もつぶれるのではないか」という声も聞こえてくる。

日本経済はまさに、モノの値段が下がっていくデフレの真っ只中にあるのだ。