日本銀行は30日、金融政策決定会合を開いて追加の金融緩和策を決めた。国債などを買い入れる基金を11兆円ほど増額し、91兆円程度にする。また、銀行の貸出し増加を促すための基金を新たに創設し、銀行が貸出しを増加した分に応じて無制限に資金供給をする。

日銀の金融緩和は9月に続いて2カ月連続。日銀にとっては、2カ月連続での追加緩和は9年半ぶりとなる異例の事態だ。

日銀が同日に公表した展望レポートでは、2014年度の消費者物価指数上昇率の見通しは0.8%と、日銀が目標とする1%に届いていない。それだけにもう一段の金融緩和が必要とされるわけだが、日銀の"本気度"はかなり怪しい。

その理由はまず、常に小出しに緩和するという"兵力の逐次投入"体質が相変わらずであること。

また、日銀の緩和策が実際は"骨抜き"になっていることも大きい。産経新聞の編集委員・田村秀男氏によると、日銀は「基金の枠内にある資産は増やすが、基金外の日銀資産は減らし、資産全体の増加を抑えるという、一種の帳簿操作」をしているという。

そして何よりも、白川方明・日銀総裁本人が「世界で日銀はまだやっていない金融政策はない」などと、打つべき手はすべて打ったとして、これ以上の努力を事実上放棄しているからだ。

実際、せっかくの緩和であるにもかかわらず、株式市場の反応はいま一つ。要するに、「期待外れ」だったわけだ。

日銀が"インフレ嫌い"であることは金融関係者にとっては公然の秘密だ。

今年1月に幸福の科学で収録した白川日銀総裁の守護霊インタビューでも、「『インフレ』っていう言葉を聞いただけで、じんましんが出る」などと述べている。

本音の部分でインフレを拒絶している以上、日本経済がどのような状態に陥ろうと、もっともらしい理屈をこねながら、"これが精いっぱいの金融緩和"と言い張り続けるだろう。

しかし、白川総裁の任期はあと半年。もはや新総裁に本気の金融緩和論者が就任することを祈るしかないのかもしれない。(村)

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2012年2月14日付本欄 日銀が物価上昇1%目指すと明示 だがその本気度は疑問?

http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=3817