2008年3月号記事

離婚率40パーセント時代の「男と女」

「自由なところが、いい」「自然にそうなった」「楽しいよ」

不倫を経験している女や男たちの話を聞いてみるとそんな言葉が返ってきた。

だが、本当に楽しいだけなのか。

不倫という字を見て眉をひそめたそこのマジメなあなた!

身近にいるかもしれないこんな「不倫の実態」知ってました?

(文中仮名/編集部 男女問題取材班)


「まさか自分がそうなるとは思わなかった……」

彩さん(26歳独身)は淡々とそう言った。会社員の彼女はつい最近まで3年間、職場の妻子ある年上の男性と不倫をしていた。

今回、多くの女性たちの話を聞いた。彼女たちは口々に同じ本音をもらした。

まさか・自分が・不倫を・するなんて。


不倫は増えているのか。

何割ぐらいの人が経験しているのか。

それが正確にわかる統計は、存在しない。一部メディアやインターネットなどの影響でハードルが低くなってはいるけれど、「不倫の恋」という花は、あくまで人目を避けて咲く。多くの既婚者はそうなる前に理性のブレーキを踏む。そこでブレーキでなくアクセルを踏み込んでしまう男女がどれくらいいるのかは、誰も知らない。

一つの目安は離婚率だ。1970年に約10%だった離婚率(離婚件数/婚姻件数)は95年には約25%、昨2007年は約36%と増える一方(厚労省の調査。07年は推計値)。いまや10組中4組の夫婦は離婚するわけで、その理由でいちばん多いのが不倫であることは容易に想像がつく。

世界中の宗教は昔から不倫を戒めている。しかし現実がここまで来てしまうと、もはや宗教も「不倫はいけません」と頭ごなしにお説教をたれるだけでは、充分に役目を果たしているとは言えない。そこで今回は三人の体験談から、普通の人が不倫に走り、それを続ける「理由」を探ってみた。


◇FILE1◇26歳独身女性×既婚男性

冒頭の彩さんは決して派手なタイプではなく、フワッとした雰囲気の女性だ。相手の男性とは帰る電車が同じだったことから親しくなった。やがて飲みに誘われた。

「相手が結婚してるのは知ってたけど、同じ職場の人と飲みに行くぐらいは普通じゃないですか。私、誘われたら断らないんです。彼とは話していて楽しかったし」

相手は、子供ができたから前の年に結婚したと彩さんに話した。ある夜、待ち合わせで指定されたいつもと違う駅前に彩さんが行くと、そこには普段着姿の彼が。

「そこは彼の家の近くだったんです。奥さんが初産を控えて入院中で、そのまま家に連れてかれて……。そこまで好きじゃなかったのに、そうなってしまった。まさか自分が不倫するなんて。不倫してる友だちにも、やめとけって言ってたくらいなのに」

何事でもなさそうに話す彩さん。最初はいけないと思ったが「ズルズルと」月に2、3回デートし、ホテルでセックスするようになった。カラダの相性がよくて離れられなくなる不倫カップルは多いという。彩さんは何人か男性経験があったが、

「その最中に相手のことをいとおしく思った人は初めてでした。どこがどう違ったとかはわからないけど、彼が私を歓ばせようとしてくれてたからなのかも」


「何が幸せか」なんてない

相手の妻に対して悪いことをしているという罪の意識や、逆に妻への嫉妬心は?

「なかったですね。私から付き合ってほしいと言ったわけじゃないし。私いつもそうなんです。相手から誘われて何となく付き合い出して、私が急に嫌になって、『一人にさせて』と言って終わりになる。束縛されるのが好きじゃないんです」

今回の彼とは今までで一番長い3年間続いた。でも昨年12月、自分から終わらせた。

「自分が26歳になったから。もしこの3年間が27、28、29歳の3年間だったら、『離婚して私と結婚して』となったかもしれない。結婚して30までに子供を産みたいんでそろそろギリギリですから。3年間それなりに楽しかったから、いいんです」

彩さんは自分の誕生日に「どうするか真剣に考えて」と彼に迫った。すぐに返事が来ないので「別れて」とメールし、以後は自分のケータイの電源を切った。

彩さんの話には、一般に不倫からイメージするドロドロした情念や本気さが妙に欠けている。彼女はどんな愛情に価値を感じる人で、なぜ彼と不倫を続けたのか。あなたが思い描く幸せな人生ってなんですか?

「えーっ……難しい。普通に結婚して、子供ができたら、普通に幸せ。別に結婚しなくたっていいけど子供がほしいんで。あとは特にこれと言ってないですね」

生きていく上で何か信じているものはある?神様とかスピリチュアルなものとか。

「……?……」

困ったように微笑んで首を横に振った。

彩さんの場合は、何か理由が「あったから」不倫に走ったというより、罪の意識や生き方の軸となる信念、ポリシーが「ないから」不倫を続けていた、そんな背景が感じられた。3年の月日を終わらせたのも、年齢という外面的モノサシによる計算。けれども取材したカフェを後にし、記者と並んで歩き出した彩さんはポツリと言った。

「私のなかで一番は、やっぱり自分なんです。自分のことは差し置いても相手のためにと思える人が出てこない限り、独身は続くと思います」

彩さんが別れ際に見せた、優しいけれど、若くて頼りなげな笑顔が心に残った。


◇FILE2◇46歳バツイチ独身女性×58歳既婚男性

海沿いの町で陽子さんに会った。

スリムな体型でシャープな顔立ち。髪型やファッションも活動的な感じで、とても46歳には見えない。メンソール系のタバコを取り出し、力のある口ぶりで話し始めた彼女は、彩さんとよく似た言葉を口にした。

「自分にとって一番大事なのは自由。解放されていること。拘束されるのが嫌い」

25歳で結婚し、34歳で離婚。現在はシングルで、一回り年上の既婚男性と足かけ11年付き合っている。専門職として自分のオフィスを営んで経済的に自立しており、金銭関係を伴う「愛人」というわけではない。

「元の亭主との結婚は一言でいって、つまんなかった。自分の器も小さかったんだけどね。子供もできなかったし」

結婚生活について陽子さんは多くを語らない。離婚前後にはうつ病になって1年間治療に通ったという。離婚後の苦しい時期にオフィスを立ち上げたとき、業者として出会ったのが今の相手だった。第一印象は、

「仕事のできる人。見習いたいと思った」

ちなみに彩さんも、こう話していた。

「彼が仕事をしているところを見るのが一番好きでした」

陽子さんは彼から飲みに誘われ、何度目かにお互い酔った勢いでホテルに入った。それから10年以上も続いていれば、年の差はあっても男の気持ちは透けて見える。

「夕べも奥さんが旅行に行ってたから、うちに泊まりに来たよ。向こうにとっては現実からの逃避でしょ。すごくしっかりした奥さんらしいけど、彼にしてみれば家で奥さんに言えないようなことも言えるし、仕事のことも全部忘れたいから、うちに来る」

二人の肉体的な結びつきを聞くと、

「奥さんとセックスはない、私とは相性がいいって言ってる。いつも私のベッドの上のカレンダーに(陽子さんとのセックス回数の)印をつけてるよ。オスの本能が強い人で、それに素直なんだと思う。そこにフタをしたら、しょぼくれちゃうと思う」

彼には子供が二人いる。陽子さんと愛し合うときは避妊しているが、過去二回だけ「おい、(子供を)つくるぞ!」と言われた。陽子さんはその二回とも妊娠した。が、仕事の面などで余裕がないため二度とも堕した。今でも彼と二人で寺に供養に行く。


相手の存在はありがたいし必要

彼と結婚したいとは思わないんですか?

「結婚は面倒くさいから、もういい。今はお互い、人生の相棒。一緒にいてラクだし、支えてくれる存在だからありがたいと思ってるけど、彼に100パーセントこっちを向かれたら私が仕事できなくなる。彼は昔から女がいない時期はなかったらしいから、奥さんがかわいそうとは思うし、私も世間的な意味での後ろめたさはあるよ。それがなかったら動物と一緒じゃない?

だから大手を振ってハッピーとは言えないけど、上を見ればキリがないからこれはこれでいいかなと思う。そこそこ楽しいよ」

実は、陽子さんが今いちばん関心があるのは彼でも仕事でもない。スピリチュアルな面で自分をいかにもっと向上させ、いかに生きるべきかだという。その話になると彼女の目は生き生きと輝き出した。

「うつで〝崖から谷底〟に落っこちて上がってくるなかで、そういうものの大切さに目覚めたの。離婚も、自分が人間をやっていく上で通らなきゃいけなかったことだと今は思うし、人生で与えられたもののなかには必ず自分にプラスになるものがあるはずだから。でもそういうメンタル面の話は、彼とはできない。そういう世界に入り過ぎて仙人にならないよう、現実世界に引っ張り戻してくれる〝風船の糸〟が彼だと思う」

彼の妻からすれば陽子さんは、夫を11年間くすね続けた泥棒猫にほかならない。けれども彼女は彼女で、心と体のバランスをとって生きていくうえで彼の存在を必要としている。過去の自分も現在の自分も客観視し、現実を受け入れて生きていこうとするその姿勢は、ある種の潔ささえ感じさせる。ただ一点、陽子さん自身も拭いきれない、妻や世間への罪悪感を除いては。


◇FILE3◇ダブル不倫から再婚へ

「ダブル不倫」という言葉をご存知だろうか。既婚男女どうしの不倫のことである。

雅彦さん(47歳)が今の妻と初めて肌を重ねたときは、二人とも前の結婚が続いていた。ただ、その時点で配偶者と心がつながっていたかを考えると、「不倫」と呼ぶのは当たらないケースかもしれない。

雅彦さんもご多分にもれず、仕事ができる。学生時代は留年して遊びまくった。就職すると営業マンとしてトップの実績を上げ、褒賞の海外旅行に何度も行った。

「先輩から言われたことがあります。お前の最大の長所も短所も人のよさだって」

そう話す雅彦さんはお世辞にもスラッとしているとは言えないが、同性には人望を感じさせ、女性には安心感を与えそうな風貌だ。29歳のとき、学生時代から4年間付き合った2つ下の女性と結婚。彼女は公務員で、子供を二人産んでからも仕事を続けた。雅彦さんは何度か浮気もしたが、結婚して7年ぐらいは幸せだったと回想する。

不協和音が出始めたのは7年目に雅彦さんの父が亡くなり、父の会社を雅彦さんが継いでしばらくしたころ。銀行に融資を申し込んだ雅彦さんは支店長から「一度奥さんと来てください」と言われた。中小企業の信用度を見きわめる際に社長の夫婦仲をチェックされるのは常識だが、妻は言った。

「なんであなたの仕事を私が手伝わなきゃいけないの」

雅彦さんのほうは彼女が家に持ち帰る仕事をいつも手伝っていたのに、である。

結局、融資はしてもらえず、やがて会社の経営が苦しくなった。雅彦さんは歯を食いしばって仕事を頑張り、帰宅は深夜が当たり前になった。すると妻は問い詰めた。

「あなたは社長なのに、なんで部下にやらせて時間通りに帰れないの。おかしい」

「彼女は公務員で時間が来たら終わりだから、仕事に対する価値観も違うし、中小企業の現実が理解できなかった」(雅彦さん)

やがて雅彦さんは会社のために自分の給料を下げ、それによって妻の給料のほうが高くなった。この夫婦の収入の逆転がポイント・オブ・ノーリターンになったという。

「そのころはもうセックスレスになっていた。A子(妻)は毎朝シャワーを浴びて、Tバックのパンツをはいて出勤するようになりました。たぶん浮気してたんでしょう。仕事に行くふりをして仕事を休んでたのが偶然わかったこともありましたから」


すべては学びのためでもあった

そんな仮面夫婦を続けていた5年前、雅彦さんはB子と仕事関係で知り合った。

B子は子供の教育方針をめぐって夫と葛藤していた。人のいい雅彦さんはB子から相談を受けるようになった。それと前後して自分の会社を追い出され、A子に家から閉め出された。仕方なく四畳半一間のアパートで生活を始めると、そこに夫と大ゲンカしたB子が転がり込んできた。

雅彦さんもB子も子供に対する責任から離婚は考えていなかったが、いわば緊急避難的に二人の共同生活が始まり、ある夜、

「生身の女が隣に寝てるもんで、そういう関係になってしまいました」(雅彦さん)

やがてB子は雅彦さんの子を宿す。絶対できないようにしていたはずなのに……。その子は堕したが、雅彦さんは何かの因縁を感じた。3年前互いに離婚が成立。半年後に入籍し、二人の間に子供も生まれた。

かつての妻にも言い分はあるだろうが、雅彦さんに二人の女性の違いを聞くと、

「どっちも気が強いけどタイプは全然違う。植物でいうと、B子が雑草だとしたらA子はランか何か。恵まれた家庭で甘やかされて贅沢に育っちゃった」

興味深いことに、雅彦さんはA子と自分の人生観の違いについてもこう述べた。二人とも特定の信仰は持っていないが、

「A子はキリスト教的な死生観を持っていました。死んだら神様のもとに召されて終わり。だから、この世で刹那的に楽しむ生き方になるというか。A子の好きなもの? ブランド物の服やバッグです」

それに比べると雅彦さんは、短期間で人生がガラガラと変わるような体験を通して、仏教的な輪廻やそのなかにおける人の縁を信じ、人生は運命の中で何かを学ぶために生かされていると考えるようになったという。取材を行なった喫茶店の紙ナプキンに今の人生観を図解してくれた(下図)。

「人のありがたさ、あったかさを知るための経験だったんだと思います。皆にすごく助けられてきたし、後悔はまったくない。今はお金はないけど充分幸せ。A子に対しては、残念だったねという気持ちです」

A子は現在子供たちと三人で住み、「私はわがままだから、もう人と一緒には暮らせない」と話しているという。


不倫を描いた小説の代表格といえばトルストイの『アンナ・カレーニナ』。その有名な書き出しはこうだ。

「すべて幸福な家庭は互いに似通っているが、不幸な家庭はそれぞれに不幸の趣を異にしているものである」

それが本当だとしたら、「不幸とはその人が直面している人生の問題集であり、その問題の中身は、人それぞれ全部違う」ということと関係あるのかもしれない。

ただ、不倫が人を決して幸せにしない、共通の理由もある。社会の基本単位である家庭の破壊につながるからだ。別居や離婚によって生活の基盤が壊れることも多い。夫婦の愛情を裏切ることはパートナーを傷つけ、子供たちも心の平和や落ち着きを得られなくなる。金銭や仕事、社会的信用を失うリスクも大きい。今の結婚をきちんと解消するならともかく、不倫を不倫として貫こうとするのは物心両面であまりにコストパフォーマンスの悪い試みといえよう。

その一方で、多くの女性が外に出て働き、自分で生計を立てるようになった現代は、新しい「出会い」のチャンスも誘惑も溢れている。結婚生活がマンネリになったとき、目の前に魅力的な異性が現れたら、男や女としてオワってしまった人でない限り、心がはずむのは当たり前。

「安定」を求めて自分を犠牲にし、結婚生活を守るか。それともリスクや代償は折り込み済みで、「自由」に不倫を楽しむのか。

離婚率40パーセントの時代。「男と女」の新しい生き方が始まっている。


インタビュー   株式会社ジャパン・プライベート・サービス 代表取締役 大川好子

パートナーの不倫を防ぐために不倫はある意味で「必然」。

パートナーを取り戻すには「気づき」が必要です。

「レディス秘密探偵社」として、単なる浮気調査とは違う「別れさせ屋」「復縁屋」などのサービスを提供しているジャパン・プライベート・サービス。女性探偵として多くの不倫現場を見、同性の目線で女性の味方になってきた同社の大川好子社長に、不倫撃退のセオリーとテクニックを聞いた。

(おおかわ・よしこ)1967年東京都出身。短大卒業後、自動車販売会社勤務を経て結婚、のち離婚。住宅販売会社勤務を経て株式会社ジャパン・プライベート・サービスに入社し、調査員を経て2007年代表取締役に就任。同社URL http://www.ladis.co.jp/

――御社は「別れさせ屋」や「復縁屋」というサービスの草分けだとか。

弊社の創業者が10年ほど前、浮気調査の依頼主である主婦の声をたまたま聞いたんです。

「あなたがたの仕事は調査して終わりですけど、私の戦いはこれからがスタートなんです」って。

で、創業者はハッとした。本当は夫と離婚して慰謝料を取るよりも、夫と不倫相手を別れさせて、もう一度元に戻りたい人もいっぱいいるんだなと。そういうニーズから生まれたサービスなんです。お互い不倫して意地を張って別れてしまったけど、やっぱりどうしても戻りたい復縁とか、戻りたい恋愛とか。相談件数はどんどん増えてます。

――不倫の関係のほうが成就して、幸せになることはあるんでしょうか。

まあ少ないですね。不倫というのは普通でないシチュエーションで行なわれる不道徳な行為なわけで、そのハラハラドキドキ感を男女の愛と錯覚してるんです。でも楽しいと思って不倫をしても、楽しみの後には苦しみも来る。ずっと続くわけじゃないですから。

ただ、そういう不道徳な行為に目を向けてしまうような環境をつくってしまったパートナー、たとえばご主人の不倫に苦しむ奥さんのほうにも原因があるんです。ケンカと一緒で浮気両成敗。原因と結果は一人ではつくれませんからね。

持病に近い浮気性の男性は別として、「まさかうちの主人に限って、うちの妻に限って」というケースの場合は必ず前兆があったり、パートナーに多少なりとも原因があったり、本人が仕事や対人関係のストレスとか精神的苦痛を感じていることがあったり。必ず原因があるんです。


Gパンをスカートに変えるだけで!?

ですから弊社では依頼を受けたら、不倫相手とご主人の付き合い方をじっくり内偵して、奥さんに足りないものはなんなのか。ご主人は奥さんの「何が嫌」で、愛人に「何を求めている」のかを分析し、ご主人にこちらを振り向かせるためのシナリオをつくります。夫婦の日常もつっこんで聞きますよ。夫婦生活はあるか、ご主人にどういう食生活をさせているか、奥さんはふだんどういう服装か。いつもGパンだったら、スカートを履きなさいとか。

――それ、すごくわかります。妻にスカートを履いてほしいという……。

男の人ってそうでしょう?(笑)。そんな小さなことでガラッと変わるんですよ。あと奥さんで多いのは、「主人が帰ってきたらいつもお風呂上りだからスッピン」とか「主人の帰りが遅いので、待ってなんかいられない」という人。だから私は言うんです。

「でも調査員の報告によると、愛人はいつもご主人が来るのを寝ないで待ってますよ。夜食の用意もして、お化粧も落とさないで、翌朝ご主人が出かけるときも、愛人はきちんとお化粧してストッキングも履いて、髪もきちんとブローしていましたよ。あなたがそれをどうしても出来ないんなら、その部分は不倫相手に任せるしかないんじゃないですか?」

そうすると、だいたい皆さんハッとして「いえ、頑張ります」って。そして一生懸命お洒落に気を使うと、たったそれだけのことでご主人は、

「お前、何だよ。男でもできたんじゃないか。携帯見せろよ」

焼きもちを焼いて、あんなにほっぽらかされてた奥さんに毎日電話が来るようになったり。そんなときに弊社のトリック探偵(同社ホームページ参照)が、愛人のところに入り込んで上手に別れさせるわけです。


「自分中心」の人が多い

――幸福の科学では「人生は一冊の問題集である」と考えています。自分やパートナーの不倫にも、ある意味、何かその人がクリアすべき課題が秘められていると思うんですが。

まさに、その通りですね。すべて必然だと思いますよ。ですから、うちのような探偵社に来る機会にめぐり合ってしまった場合は、自分がどこをどう矯正したらいいかという「気づき」が求められているんです。

――夫に不倫をされて苦しむ妻に、共通点はありますか。

やはり、「自分」を主体に考えている人が多い。一番大事なパートナーに対して自分が「我」を出して、相手に負担をかけるようなことを言ったりやったりしていることに、気がつかないんです。そこに気がつけないから、「私は家であの人のためにこんなにやってるのに、なんで外で女を作るの?」「私はこんなに好きなのに、どうして私の気持ちに気がついてくれないの?」と。「相手があって自分がある」という考え方ではなく、「自分があって相手がある」という考え方になっているところが問題だと思います。

ですから弊社にいらした方は、料金だけ払って「探偵任せ」ではなく、一度立ち止まって、気づいて、スタッフと一緒に頑張って自分を改善する努力もしていただきます。自分が変わると相手も変わりますから。


豊かさのなかで「心」の大切さを忘れずに

――不倫や離婚が増えている社会背景について感じることは。

いまは簡単に結婚して簡単に離婚しますよね。その背景にはもちろん女性の社会進出もあるし、社会が豊かになったから、離婚して女性が実家に帰っても食いぶちに困らないということもあります。このままだと、結婚という形をとらなくてもいい、非常に野放図な状態になって、コミュニティーの基本である家族がどうなってしまうんだろうかと心配です。

豊かになって文明が発達するのはもちろんいいことなんですが、そこで男女の心のことが置き去りにされて、「結婚したんだったら添い遂げよう」という気持ちが欠落してきている。それもやはり自我が通ってしまうからです。「自分の思い通りにならなければ、やめちゃえばいい」という風潮が強過ぎるのでは。

――自我を通すより、多少の波風があっても添い遂げる覚悟も大切ですね。

弊社も依頼主から、「あのことがあったからこそ今はすごく幸せに暮らしています」とか、「あれも通るべき道だったのかなと今は思えます」とお便りをいただくこともあります。

そのときに大事なのが、許す気持ちです。宗教で言えば、神、仏が人を許すのは満遍なく愛を注いでくださるからでしょう? それと同じで、相手を本当に思う無償の愛があれば許せますでしょ? そういう気持ちも忘れないでいただきたいですね。