バングラディシュ南東部のコックスバザールで9月30日、イスラム教徒が仏教寺院などに放火や略奪を行う事件があった。
事件を起こした理由についてイスラム教徒側は、仏教徒と見られる男性のFacebookのページに、燃やされたコーランの写真が掲載されていたことにあると主張している。2万5千人ほどのイスラム教徒による暴動で、損害を受けた仏教寺院や僧院は12に上り、仏像などの略奪も発生。周辺の100件以上の家屋も被害を受けた。
聖典が燃やされたことに抗議したい気持ちは分かるが、放火や略奪といった無秩序な暴力で、罪のない人々まで危険にさらすのはあまりに度が過ぎている。こうした事件が起こるたびに暴力に訴えていては、他宗との間で融和的な関係を築くことは難しいだろう。
一方で、暴徒化する抗議行動は、政治的に利用される危険性を含んでいる。たとえば、アメリカを憎む勢力が、イスラム教を冒涜するような写真や画像を作り、それをアメリカ人が作ったものだと偽ってインターネットなどで拡散すれば、簡単に、アメリカとイスラムの間に対立をつくれてしまう。
先月には、イスラム圏で大規模な反米デモが起きたが、その原因となったムハンマドを冒涜したとされる映画の製作者は、「映像が本来の意図とは違うかたちで使われた」と証言している。この反米デモも、今回のバングラディシュのケースも、特定の意図を持った勢力が、イスラム圏の反米感情を煽るために映像や画像を作り、拡散したという可能性もないとは言えない。
大川隆法・幸福の科学グループ創始者兼総裁は、『朝の来ない夜はない』の中でこう記している。
「キリスト教もイスラム教も一神教ですが、一神教では、一つの神を立て、その神のために戦い、ほかの宗教を異端・邪教と見て、潰そうとします。これが延々と続いているのですが、両方とも、神の名の下に戦っているのです。このような問題を何とかして解決しなければいけないと私は思っています」
聖なるものを守るための抗議は必要だが、イスラム教徒は感情的な怒りから暴力に訴えるのではなく、理性的な反論をすべきである。それが、イスラム教がどこかの勢力や国の政治目的に利用されるのを防ぎ、自らの信仰を守ることにもなるのだ。
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