野田政権は14日に開いたエネルギー・環境会議で、「2030年代に原発稼働ゼロを可能とするよう、あらゆる政策資源を投入する」という政府戦略をまとめた。これは、日本という国家を滅亡させかねない危険な戦略である。

主な戦略には、30年代に原発稼働ゼロを目指すほか、原発の40年運転規制の厳格な適用や、高速増殖炉「もんじゅ」の事実上の実用化断念、原発の新増設はしないなどといったものが並ぶ。

では、30年時点で原発をゼロにしたら何が起こるか。

30年の発電に占める再生エネルギーの割合を3割としているため、残りの7割は火力となる。だが、経済産業省の試算では、すべての原発を停止すると海外から輸入する火力の燃料費が1年間で3兆1000億円増加し、家庭向けの電気料金も現在の2倍になる。

料金の値上げは、熾烈なコストカットが求められている産業界にも大きなダメージとなり、企業が日本から海外に逃げ出して行く。原発をゼロにすると、国内総生産(GDP)が50兆円近く落ち込み、失業者も200万人増加するという見通しもある(15日付読売新聞)。

経済面のみならず、安全保障面への影響も懸念される。原発をゼロにすると、火力発電に必要な化石燃料の輸入が日本の生命線となるからだ。燃料が運ばれてくるシーレーン(海上交通路)については、現在、空母建造などで軍拡を進める中国が進出しつつある。最近の中国の尖閣諸島への不法上陸や領海侵犯、東南アジア地域での横暴な振る舞いを見ても分かるように、現在においても、日本周辺のシーレーンは危うい。

さらに付け加えれば、燃料の産出国で政変が起こったり、経済状態が悪化すれば、燃料価格が高騰するばかりか、日本への輸入が途絶える危険もある。つまり、日本の電力事情が、他国の都合や国際情勢の変化に振り回される危険性が増大するのだ。

日本の脱原発については、アメリカやイギリス、フランスが強い懸念を示している。それは、日本が経済面でも安全保障面でも、世界に対する責任を放棄することを意味しているからだろう。

本来、日本がとるべき戦略は「原発推進」である。

震災後、ベトナムやヨルダンが日本からの原発輸入を決めたことからも分かるように、あれだけ大きな事故にもかかわらず、放射能による死者を一人も出していない技術力、安全性をアピールすべきだ。

今回の戦略を示した野田政権は、日本を滅亡の危機に追いやっている事実を自覚すべきだ。(格)

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