中学2年の男子生徒がいじめを理由に自殺した事件が起こった大津市の市議会で、主要会派が「いじめ防止条例」案の骨子をまとめた。今後、12月に議会で提案し成立する予定。14日付各紙が報じた。

この条例の柱としては、いじめ対応専門組織を市長の附属機関として常設する。臨床心理士や学識経験者、弁護士などの有識者らがいじめに遭った子供の相談に応じ、市長に学校への指導を勧告するという。

条例では「子供の役割」として「いじめを発見した場合(疑いも含む)及び友達から相談を受けた場合は家族、学校に相談する」、学校の責務として「いじめを把握した場合は、速やかに組織的対応を講じなければならない」、保護者は、いじめに気づいた時点で「速やかに市、学校、関係機関等に相談または通報しなければならない」としている。だが、いずれも罰則規定はない。

骨子の文言を見ると、果たして事件の教訓をきちんと生かしているのか、疑問は残る。大津市の事件では、他の生徒がいじめの事実を教師に伝えていたにもかかわらず対応せず、被害者の保護者が「学校に相談」しても、学校や市教委は、まさに「組織的対応」でいじめの存在を隠蔽し続けた。結果、保護者は市教委などを相手に訴訟に踏み切り、滋賀県警が市教委や学校の捜索を行う事態にまで至ったのだ。

本条例案には、「責任逃れ」や「隠蔽体質」を防止する対策は見受けられない。それなしには、市長の附属機関を新設したとしても、正しく機能しないだろう。また、いじめを行った生徒への対応も明記されていない。

一方、東京都品川区では、いじめを行っている児童・生徒を出席停止にする制度を積極的に運用する方針を明らかにしている。浜野健区長は13日、「学校が対処できるすべがあることを周知し、いじめの抑止力にしようということ」と述べている。

大川隆法・幸福の科学総裁は、すでに2007年に『いじめ処罰法』(原案)を提言している(関連記事を参照)。この中では、加害児童生徒への処罰はもちろん、教員や学校、教育委員会のいじめ隠蔽に対しての処罰を規定している。「いじめは犯罪」とし、罰則規定を設けることが、最大の抑止力となる。大津市も、処罰について踏み込んだ条例を制定すべきである。(晴)

【関連記事】

2007年3月号記事 教室に正義を!(4) 『いじめ処罰法』(原案)─大川隆法案─

http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=1024

2012年9月号記事 大津いじめ事件で強制捜査「いじめを解決する方法」とは - Newsダイジェスト

http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=4638

2012年10月号記事 【番外編】いじめは必ず解決できる―大津のようないじめ事件を二度と起こさないためには

http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=4752