米連邦準備理事会(FRB)は13日、量的金融緩和第3弾(QE3)を行うことを決定した。今回の金融緩和は、FRBが住宅ローン担保証券400億ドルを毎月買い上げる内容。中央銀行が市場の債券を買うことで、引き換えとして新しい資金が市場に流れこみ、景気を下支えする効果がある。

背景には、8%台で高止まりしている失業率や欧州危機によって、経済の停滞感が強まっていたことがある。FRBのバーナンキ議長は、労働市場が改善するまでQE3を続けると宣言しており、景気が回復しない場合は追加の金融緩和を行う可能性も示唆している。

今回の緩和の効果は限定的と見る向きもあるが、景気回復に向けてFRBが徹底的にコミットするという姿勢を示したのは重要だ。13日のニューヨーク株式市場は、1.5%の大幅な値上がりでQE3を歓迎した。

特に、財政政策の手が縛られている状況で、FRBはできる限りのアクションを取ったと評価できる。米政界では、大統領選に向けた両党の対立によって、公共投資などの法案成立が困難な状況にある。また議会で両党が手を打てなければ、来年はじめには減税の期限切れと歳出削減で「財政の崖」と呼ばれる緊縮財政が行われ、アメリカ経済はマイナス成長に陥る恐れすらある。

このようなFRBの決定に、日銀は見習うべきだろう。リーマンショックの後ですら市場への資金供給をためらい、長らく続いているデフレを放置したままにしているからだ。来週には日銀の金融政策決定会合が開かれるが、日本経済を浮揚させるための、大幅な金融緩和が強く望まれる。

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2012年5月13日付本欄 デフレなのにインフレと戦っている日銀総裁インタビュー

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2012年4月号記事 日米がついにインフレ目標を導入 "Newsダイジェスト"

http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=3877