2012年10月号記事

ここがわからん!

そもそモグラの幸福実現党Q&A

2009年5月、自民党も民主党も頼りにならないとして、立党した幸福実現党。その先見性に満ちた主張は、実際の政治・経済に少なからぬ影響を与えはじめている。しかし同党の政策は、広く国民に支持されるところまでは至っていない。

そこで今回、幸福実現党の政策の中でも、特に反発が大きかったり、問い合わせが多かったものについて、政策立案にも関わってきた本誌編集部がQ&A形式で解説してみた。

(編集部 村上俊樹、河本晴恵、居島有希)

大統領制

大統領制になったら天皇制は廃止されるのですか?

A.天皇は文化的象徴として今以上に守られます。

  • 天皇が国家元首とみなされた場合は、万が一戦争になり、負けて占領されるなどした場合には、皇室が廃止されたり、最悪の場合は天皇が処刑されるおそれがあります。
  • 第二次世界大戦においても、天皇が戦争責任を問われる可能性や、皇室がなくなる可能性もありました。
  • 実際、1972年に明らかになった中国共産党がつくったとされる工作文書の中には、「天皇を戦犯の首魁として処刑する」という計画も記載されています。
  • 大統領を国家元首と定めることで、天皇の政治責任が問われることを明確に避け、日本の文化的象徴である皇室を守ることになります。

原発

迷わず再稼働を

原子力発電所を再稼働したらまた事故が起きて危険では?

A.福島の原発事故で放射能被害で死んだ人はいません。

  • 少なくとも、数十人が亡くなったチェルノブイリの原発事故とは比較になりません。
  • 福島の被災者が体内に取り込んだ放射性物質も、チェルノブイリの1000分の1以下です。低線量であれば、健康被害の報告はありません。
  • 1TWh(テラワットアワー)を発電した時の死者数(※)は、石油などの化石燃料で21人、水力で1.4人、原子力は0.03人。死者数で比較する限り、原発は火力や水力より40~700倍安全です。※プラント事故や採掘時の危険性、火力発電の大気汚染による犠牲者などを含む。(参考:『 「反原発」の不都合な真実 』藤沢数希著)
  • クーラーを使わずに熱中症で亡くなった人が昨年都内だけで46人もいたことを考えると、原発を止めて、電力不足に陥るほうが危険です。
  • また、1960年代半ばから最近まで、中国はシルクロードで核実験を繰り返しており、その影響で当時の日本の放射線量は現在の東北よりもはるかに高かったのです。しかし、日本では放射線が原因とされる健康被害は出ていません。
  • ちなみに今回の事故は、津波で予備電源が使えなくなったことが原因です。地震による原子炉被害はありませんでした。

危険な原発よりも、安全な太陽光発電やその他の自然エネルギーに転換したほうが良いのではないですか?

A.原子力は安定的で低コスト。

  • 事故を教訓に安全性も高めることができます。
  • 太陽光発電は、実は原子力発電の約8倍のコストがかかります。
  • 電気代は大幅に高くなり、家計や企業にも大きな打撃となります。
  • 原発一基分の電気を作るためには、太陽光発電なら山手線の内側全部の面積の土地が必要です。
  • しかも、発電量は天候に左右され、安定しません。
  • 結果、石油などの化石燃料依存に戻ってしまいます。
  • 中東や、輸送路の中国近海で軍事緊張が高まれば、エネルギー供給が完全に停止する恐れがあり、オイルショックが再来しかねません。
  • また、高速増殖炉「もんじゅ」などを再稼働して使用済み核燃料を再び発電に使うサイクルを確立すべきです。

国防

憲法改正で防衛力を強化

憲法9条を改正して軍隊を持ったらまた戦争になるんじゃないですか?

A.軍隊がなければ他国から侵略される可能性があります。

  • 「軍隊がなければ戦争が起きない」と言うのは「交番をなくせば犯罪は起きない」と言っているのと同じです。
  • 軍事的な備えが弱かったために、内モンゴルは1947年、ウイグルは49年、チベットは51年に中国に侵略されてしまいました。
  • 「非武装」中立国と思われているスイスも、「武装中立・国民皆兵」の下、強力な軍事力を持つがゆえに中立を維持できています。
  • 戦後これまで日本がどの国にも攻められなかったのは、世界最強の軍隊である米軍の基地(日米同盟)があるおかげなのです。

他国が攻めてくるというイメージがわきません。妄想なんじゃないですか?

A.中国は建国以来国境を接するほぼすべての国と紛争を起こしてきました。

  • 中華人民共和国が1949年に成立すると、中国は50年にはチベット、54年には台湾、59年にはインド、69年にはソ連、79年にはベトナムと国境をめぐり争いました。また、74年には西沙諸島でベトナムと争い実効支配を始め、92年にフィリピンが米軍基地を撤去すると、その3年後には南沙諸島に軍事施設を建設、次々と他の島も実効支配しました。
  • ソ連は第二次大戦末期、アメリカが広島に原爆を投下した2日後に、不可侵条約を一方的に破棄して、日本に攻め込んできました。

国防強化ということですが私の子供が徴兵されるのですか?

A.基本的には必要ありません。

  • 自衛隊の一般・技術幹部候補生の応募者数は8474人、採用人数は304人(2011年度)と倍率は27.9倍なので、徴兵の必要は今のところありません。
  • ただ、2005年の世界的な調査で「自国のために戦う」と答えた率は、日本は15%で80カ国中最下位だったので、国防意識の一層の強化は必要です。

教育

公立学校を「経営再建」

愛国心を持てる歴史教育をするというのは戦前の軍国主義教育に戻るということですか?

A.植民地や属国でなければどの国もしていることです。

  • アメリカの公立学校の多くでは、生徒に、「神の下で一つの国家である共和国に忠誠を誓う」という「忠誠の誓約」を毎朝復唱させます。
  • イギリスのサッチャー首相は「イギリス病」克服の一環として、1988年の教育改革法で自虐史観を一掃しました。
  • 「ローマの繁栄は、ローマ人がローマを愛したから」という言葉もあるように、日本の繁栄を創るために、子供たちが日本を愛する必要があります。
  • 靖国や慰安婦、竹島、尖閣問題などで日本政府が毅然とした姿勢を取れない背景には、日本人の自虐史観があります。

塾を学校として認めたら教育のレベル差が広がりませんか?

A.教育に自由競争を持ち込めば全体のレベルが上がります。

  • 子供や親側に選択の自由が増えるのは、サービスを受ける側にとって良いことです。
  • 競争が生じることで、多様な教育ニーズに応えることができます。
  • 競争によって公立学校のレベルが上がれば、低所得者層もすぐれた教育サービスが受けられます。

いじめはずっとあるものでなくせないのではないでしょうか?

A.完全にはなくせなくても、解決はできます。

  • 教師にはいじめに対処する責任があります。犯罪レベルのいじめを黙認、隠ぺいなどした教師や校長は懲戒処分など厳罰に処します。
  • 指導してもいじめが止まらない場合は、いじめの首謀者を出席停止処分にする、あるいは退学、転校させるなどの措置をとります。
  • 以上の要素を盛り込んだ『いじめ禁止法(防止法)』を制定します。
  • 民間人を校長に登用して、教育関係者の馴れ合いによるいじめの隠ぺいをとめます。

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そもそモグラの幸福実現党Q&A - 後編

http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=5047

経済政策については次号「後編」で掲載します。