中国の宇宙開発が進んでいる。2003年に有人宇宙飛行に成功した中国は、その後も精力的な宇宙開発を続けており、2020年には宇宙ステーションを完成させる予定だ。軍拡著しい中国が、宇宙開発を急進的に行う目的とは何なのか。本誌でもおなじみの中国軍事研究家・平松茂雄氏が、14日にBSフジで放映された「プライム・ニュース」の中で答えている。
平松氏は中国の宇宙開発の目的について、「明らかに軍事的な目的でつくっている。それ以外の何物でもないということです」と断言する。同氏によれば、中国はアメリカに対抗できる核戦力の構築を国家目標としてきたが、その結果として、ミサイルの誘導に関係する宇宙や海軍の分野にも手を伸ばしてきたという。
平松氏はまた、「中国の宇宙開発は軍事目的で『制宙権』(宇宙での制空権)を確保するためにあるのでは」という視聴者からの問いに、「それ以外の目的はないと思います」と述べた。
中国は近年、衛星を打ち落とせるミサイルなども開発している。アメリカの軍事システムの衛星通信への依存が大きくなっており、もし衛星を打ち落とされれば、米軍の指揮命令系統全体がマヒしかねないという懸念もある。核を持つ国が国際政治で力を持った時代から、「宇宙を制する者が世界を制する」時代へと、中国は着実に準備を進めているわけである。
宇宙開発は「夢とロマン」をかき立てるが、それ以外の実利的な利益があるがゆえに、中国やそのほかの国は宇宙開発を行っているのである。中国のロケット打ち上げなどを耳にする際には、その背後にある軍事戦略にも要注意である。
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2012年6月19日付本欄 中国の有人宇宙船ドッキング成功 日本も自衛のための宇宙開発を