アメリカの共和党大統領候補に内定している、ロムニー・前マサチューセッツ州知事は11日、ライアン下院議員を副大統領候補に指名した。
ライアン氏は下院の予算委員長を務めており、政府の予算案に対抗して提出した対案で知られている。市場経済への政府の介入を嫌う自由主義者で、対案でも複数の競合する高齢者医療保険を用意して、個人が選べるようにする制度づくりを主張。財政再建に強いこだわりを持っており、オバマ氏のものよりも向こう10年間で5兆ドルほど多く負債が削減される計算になっている。
ライアン氏は、ティー・パーティーなど保守派からの人気が高い。指名の背景には、共和党保守派からの支持を集めたいロムニー陣営の狙いがうかがえる。社会問題をめぐるこれまでの発言に一貫性がないことで、保守派からの信用が集まらないのがロムニー氏の弱点だったからだ。
一方で、外交経験がないライアン氏を指名したということは、ロムニー氏が外交政策を軽視し、経済で勝負することを表明したという意味を持つ。これは、日本が懸念すべき点と言える。ロムニー氏は、イランやロシアへの強気な発言の一方で、これまで具体的な外交政策を打ち出せずにいる。
また、対中姿勢でも、ロムニー氏の発言には疑問符がつく。「大統領初日に中国を為替操作国に指定する」と威勢がいい。しかしその反面、政権移行チームの外交安保担当に、親中派と言われるゼーリック・前世界銀行総裁を指名していたことが判明し、波紋を広げている。加えて、9日の資金集めパーティーでは、「我々は日本ではない。衰退と重圧に10年も苦しむ国にはならない」と、中国対策でタッグを組むはずの同盟国を揶揄するような発言をしている。
今回の副大統領指名で、元企業経営者のロムニー氏は、自分の強みとしてアピールする経済で勝負に出た。しかし、世界最強の軍事力を持つ米大統領の候補者は、「軍の最高指揮官として、ふさわしいかどうか」を問われることは避けられない。ロムニー氏の肩に、この問いが重くのしかかる。
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